WDR・E-WDRとは?必要なdB(デシベル)はどのくらい?
防犯カメラの仕様書を見ると、
「WDR 120dB」
「True WDR」
「E-WDR」
といった表記を見かけることがあります。
どれも明るい場所と暗い場所を見やすくするための機能ですが、仕組みや性能には違いがあります。
また、WDRには「120dB」「140dB」といった数値が記載されていることがありますが、数字が大きければ無条件に良いというわけでもありません。
この記事では、WDRとE-WDRの違い、dB(デシベル)が表している意味、そして設置場所に応じてどの程度のWDR性能が必要なのかを分かりやすく解説します。
そもそもWDRとは?
WDRは「Wide Dynamic Range(ワイドダイナミックレンジ)」の略です。
防犯カメラでは、非常に明るい部分と暗い部分が同じ画面内にあるとき、両方を見やすくするための機能として使用されます。
代表的なのが、建物の出入口です。
室内に設置したカメラで入口を撮影すると、
-
屋外:非常に明るい
-
室内:暗い
という大きな明暗差が発生します。
通常のカメラでは、屋外に明るさを合わせると室内の人物が暗くなり、室内に合わせると屋外が白飛びすることがあります。
WDRは、この明暗差を補正して人物の顔や服装などを確認しやすくする機能です。
WDRの仕組み
本格的なWDRでは、一般的に露光条件の異なる映像を利用して、明るい部分と暗い部分の情報を取り込みます。
例えば、
短い露光 → 明るい屋外を白飛びしにくく撮影
長い露光 → 暗い室内を明るく撮影
そして、それぞれの情報を処理して、明部と暗部の両方が見やすい映像を作ります。
これが一般にTrue WDR、Real WDR、Hardware WDRなどと呼ばれる方式です。
※名称や具体的な処理方法はメーカーによって異なります。
E-WDRとは?
E-WDRは「Electronic Wide Dynamic Range」などと呼ばれる、電子的な画像処理によって明暗差を補正する方式です。
メーカーによっては、
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Digital WDR
-
DWDR
-
E-WDR
など異なる名称が使われています。
True WDRのように異なる露光情報を利用する方式とは異なり、撮影した映像をデジタル処理して、暗い部分を明るくしたり明るい部分を調整したりします。
そのため、比較的低コストで搭載できることがメリットです。
WDRとE-WDRの違い
大まかに比較すると次のようになります。
強い逆光が発生する場所では、本格的なWDRを搭載したカメラの方が有利と考えると分かりやすいでしょう。

WDRの「dB(デシベル)」とは?
WDR対応カメラでは、
120dB
130dB
140dB
などの数値が記載されていることがあります。
このdBは、簡単に言えばカメラが扱える明るい部分から暗い部分までの幅(ダイナミックレンジ)を表す指標です。
基本的には数値が大きいほど、より大きな明暗差を扱えることを意味します。
例えば、120dBより140dBの方が、仕様上はより大きな明暗差に対応できる、ということになります。
ただし、ここで注意が必要です。
何dBあれば十分?
防犯カメラでは、120dB前後のTrue WDRを一つの目安として考えることができます。
一般的な出入口や窓際などでは、120dBクラスでも十分な補正性能を持つ製品が多くあります。
一方、
-
強い西日が入る
-
ガラス張りのエントランス
-
地下駐車場の出口
-
トンネルの出入口
-
屋内から非常に明るい屋外を撮影する
といった明暗差の非常に大きな環境では、より広いダイナミックレンジを持つカメラが有利になる場合があります。

「140dBだから120dBよりきれい」とは限らない
ここは防犯カメラ選びで特に注意したいところです。
仕様書だけを見ると、
140dB > 120dB
なので、「140dBのカメラの方が高画質」と思ってしまうかもしれません。
しかし、WDRのdBはカメラ全体の画質を表す数値ではありません。
実際の映像には、
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イメージセンサー
-
レンズ
-
画像処理エンジン
-
露出制御
-
ノイズ処理
-
設置角度
-
周囲の照明
なども影響します。
したがって、dBの数字だけでカメラの優劣を判断しないことが重要です。
E-WDRの「○○dB」には注意
もう一つ注意したいのが、E-WDRやデジタルWDRの仕様表記です。
メーカーによってWDRの定義や測定方法、表記方法が異なる場合があります。
そのため、
「同じ120dBだから同じ性能」
とは単純には判断できません。
特にメーカーの異なる製品を比較するときは、dBだけでなく、True WDRなのか、デジタル処理によるWDRなのか、まで確認することをおすすめします。
WDRが特に重要な設置場所
WDR性能を重視したい代表的な場所があります。
店舗の出入口
店内から屋外を撮影すると、大きな明暗差が発生します。
コンビニの自動ドア
ガラス面が大きく、時間帯によって強い日差しが入ります。
マンションのエントランス
外から入ってくる人物の顔を確認するため、逆光対策が重要です。
病院・クリニックの入口
ガラス張りの入口では屋内外の明暗差が大きくなります。
地下駐車場の出入口
暗い駐車場から明るい屋外方向を撮影するため、非常に大きな明暗差が発生します。
画素数よりWDRが重要になることもある
「800万画素だから人物の顔もよく見える」
とは限りません。
例えば、800万画素のカメラでも強い逆光で人物の顔が真っ黒になってしまえば、せっかくの高解像度を生かせません。
反対に、適切なWDR性能を持った500万画素カメラの方が、人物の顔を確認しやすい場合もあります。
防犯カメラでは、画素数 × レンズ × WDR × 夜間性能 × 設置位置を総合的に考えることが重要です。
WDRと夜間撮影は別の機能
WDRと赤外線撮影を混同しないことも重要です。
WDRは、「明るい場所と暗い場所が同時に存在するときの補正」です。
一方、赤外線撮影やカラー夜間撮影は、「周囲そのものが暗いときに撮影するための機能」です。
目的が異なります。
例えば店舗入口では、昼間はWDRが重要でも、閉店後の夜間は赤外線撮影性能の方が重要になる場合があります。
よくある質問
WDRは何dBがおすすめですか?
一般的な店舗入口や玄関などでは、120dB前後のTrue WDRが一つの目安になります。
ただし、必要な性能は設置環境によって異なります。
140dBなら120dBより高性能ですか?
ダイナミックレンジという点では数値が大きい方が広いことを示しますが、実際の映像品質まで必ず優れているとは限りません。
E-WDRでも十分ですか?
明暗差がそれほど大きくない場所では十分な場合があります。一方、強い逆光が発生する出入口などではTrue WDRをおすすめします。
WDRがあれば逆光でも必ず顔が映りますか?
必ずではありません。
カメラの設置角度、太陽の位置、レンズ、センサー性能などにも左右されます。
まとめ
WDRとE-WDRは、どちらも防犯カメラの明暗差を補正するための機能ですが、その仕組みと性能には違いがあります。
WDR(True WDR)
→ 複数の露光情報などを利用し、強い逆光にも対応しやすい
E-WDR
→ デジタル画像処理を中心に明暗差を補正
そしてWDR性能を示す「dB」は、数値が大きいほど広い明暗差を扱えることを意味します。
一般的な店舗入口や玄関なら120dB前後のTrue WDRを一つの目安にできますが、「140dBだから必ず高画質」というわけではありません。
防犯カメラでは数値だけを見るのではなく、実際の設置環境に適したWDR性能を選ぶことが重要です。
防犯設備士からのワンポイントアドバイス
防犯カメラを選定するとき、カタログに記載された「120dB」「140dB」という数字だけで判断することはおすすめしません。
現場では、太陽がどちらから入るのか、何時ごろ逆光になるのか、カメラから人物まで何mあるのかによって、実際の見え方が大きく変わります。
特に店舗の自動ドア、マンションのエントランス、地下駐車場の出口などは、日中の明暗差が非常に大きくなる場所です。
こうした場所では、単に高画素カメラを設置するよりも、十分なTrue WDR性能を持ったカメラを適切な方向へ設置することの方が、人物確認には重要になる場合があります。
防犯カメラは「スペックの数字が大きい製品を選ぶ」のではなく、その場所で何を確認したいのかを基準に選ぶことが失敗しないポイントです。