防犯カメラ用microSDカードとは?
一般用microSDとの違い・容量・録画時間・選び方を解説
防犯カメラの録画というと、
カメラ → DVR・NVR → HDDへ保存
という方法を思い浮かべる方が多いと思います。
しかし、IPカメラやネットワークカメラの中には、カメラ本体へmicroSDカードを挿入し、映像を直接録画できる製品があります。
レコーダーを使用しなくても録画できるため、
-
カメラ1台だけ設置したい
-
簡単なシステムにしたい
-
NVRの録画とは別にカメラ側にも映像を残したい
といった場合に便利です。
ただし、防犯カメラは長時間にわたって映像を書き込み続けます。
スマートフォンやデジタルカメラで使用する一般的なmicroSDカードと同じ感覚で選ぶと、書き込み回数や耐久性の問題が発生することがあります。
そのため、防犯カメラでは監視カメラ・ドライブレコーダーなどの連続録画を想定した高耐久microSDカードを選ぶことが重要です。
この記事では、防犯カメラ用microSDカードの仕組み、一般用との違い、容量や録画時間、HDD録画との違いについて解説します。
防犯カメラ用microSDカードとは?
microSDカードは、小型のフラッシュメモリーです。
防犯カメラ本体にmicroSDカードスロットが搭載されている場合、
防犯カメラ
↓
microSDカード
という非常にシンプルな構成で録画できます。
映像をカメラ内部で保存するため、必ずしもNVRやDVRまで映像を送って録画する必要はありません。
ただし、すべての防犯カメラがmicroSD録画に対応しているわけではありません。
また、カメラによって、
-
対応する最大容量
-
対応するmicroSD規格
-
録画方式
などが異なります。
一般用microSDカードとの違い
防犯カメラで重要になるのが、書き込み耐久性です。
一般的なmicroSDカードは、
-
スマートフォンの写真保存
-
デジタルカメラ
-
音楽・文書データの保存
など、通常のデータ保存を想定した製品が多くあります。
一方、防犯カメラでは映像を長時間書き込み続けます。

ポイントは、単純に、「microSDカードなら何でも同じ」ではないということです。
防犯カメラで長期間使用するなら、メーカーがHigh Endurance(高耐久)・監視録画向けなどとしている製品が候補になります。
なぜ防犯カメラには高耐久microSDカードが必要?
防犯カメラでは、
録画
↓
容量がいっぱいになる
↓
古い映像を削除
↓
新しい映像を録画
↓
再び上書き
という処理を繰り返します。
つまりmicroSDカードに対して、長期間にわたり書き込みと消去が繰り返されます。
フラッシュメモリーには書き換え寿命があるため、このような用途では耐久性が重要になります。
特に、24時間常時録画では書き込み量が非常に多くなります。
microSDカードはどこに入れる?
多くの場合、microSDカードは防犯カメラ本体のカードスロットへ挿入します。
例えば屋外用カメラでは、
防水カバーを開ける
↓
microSDカードを挿入
↓
カメラの設定画面で初期化
↓
録画設定
という流れになります。
機種によってはカメラを取り外さないとカードを交換しにくい場合もあります。
そのため高所へ設置する場合は、将来のmicroSDカード交換作業も考えて設置する必要があります。
microSDカードには何を録画できる?
対応するカメラでは、
-
常時録画
-
モーション検知録画
-
AI検知時の録画
-
スケジュール録画
などを設定できる場合があります。
例えばAIカメラなら、
通常時 → 録画しない
↓
人物をAI検知
↓
microSDへ録画
という使い方ができる製品もあります。
イベント録画を利用すれば、常時録画より保存容量を節約できます。
ただし、機能はカメラによって異なります。
容量がいっぱいになったらどうなる?
多くの防犯カメラでは、microSDカードの容量がいっぱいになると、古い映像から順番に上書きします。
例えば、
1日目 → 2日目 → 3日目……
と録画していき、容量がいっぱいになったら、最も古い映像を消して、新しい映像を保存します。
そのためmicroSDカードの容量は、「何GB保存できるか」だけでなく、「何日間さかのぼって映像を確認できるか」という視点で考えると分かりやすくなります。
microSDカードは何GB必要?
必要な容量は、主に次の条件で決まります。
-
カメラの解像度
-
ビットレート
-
フレームレート
-
H.264/H.265などのコーデック
-
常時録画かイベント録画か
-
必要な保存期間
です。
したがって、「400万画素だから128GB」のように、画素数だけでは決められません。
特に重要なのがビットレートです。
録画容量を簡単に計算してみる
例えば、平均ビットレートを2Mbpsとして24時間常時録画するとします。
概算では、
2Mbps ÷ 8 = 0.25MB/秒
です。
1日では、
0.25MB × 60秒 × 60分 × 24時間
= 約21.6GB
となります。
単純計算すると、
64GB → 約3日分
128GB → 約6日分
256GB → 約12日分
512GB → 約24日分
程度です。
ただし、これは容量を単純計算した目安です。
実際には使用可能容量、ファイル管理領域、音声、VBRによるデータ量の変化などがあるため、実際の録画日数は異なります。
ビットレートで録画日数は大きく変わる
同じ256GBのmicroSDカードでも、ビットレートが違えば録画期間は変わります。

microSDカードの容量だけを見ても録画期間は分からない、ということです。
防犯カメラでは、容量と同時に録画ビットレートを確認することが重要です。
H.265を使用すると容量を抑えられる?
H.265は、H.264より高い圧縮効率を狙った映像圧縮規格です。
同程度の画質を維持しながらビットレートを抑えられれば、同じmicroSDカードでも録画期間を長くできます。
例えば、
H.264で4Mbps
から、
画質を確認しながらH.265でより低いビットレートにできれば、保存容量を節約できます。
ただし、実際の圧縮率は、
-
映像の動き
-
ノイズ
-
解像度
-
カメラのエンコーダー
などによって変わります。
常時録画とイベント録画、どちらがいい?
常時録画
24時間録画し続けます。
メリット
必要な場面が残りやすい。
デメリット
microSDへの書き込み量が多くなり、容量も多く使用します。
イベント録画
人物・車両・モーションなどを検知したときに録画します。
メリット
保存容量と書き込み量を抑えられます。
デメリット
検知されなかった場面は録画されない可能性があります。
防犯用途では、容量節約だけでなく、必要な映像を確実に残せるかを優先して設定することが重要です。
AIカメラとmicroSDカードは相性がよい
AIカメラでは、
-
人物
-
車両
などを判別できるため、単純なモーション検知より録画対象を絞り込みやすくなります。
例えば、
木が揺れた → 録画しない
猫が通った → 設定によって録画しない
人物が侵入した → 録画
といった使い方ができる製品があります。
AI検知とmicroSD録画を組み合わせれば、限られた容量を効率的に使える場合があります。
microSD録画ならNVRは不要?
1台程度の小規模システムであれば、microSD録画だけで運用できる場合があります。
例えば、
-
住宅玄関にカメラ1台
-
小規模店舗にカメラ1台
といったケースです。
ただし、カメラ台数が増えると管理が大変になります。
例えばカメラ8台がそれぞれmicroSDへ録画している場合、録画映像も各カメラに分散します。
NVRなら複数台のカメラ映像を1か所へまとめて録画・検索できます。
そのため、
少数台 → microSD録画
複数台 → NVR録画
という考え方も一つの目安です。
microSD録画とNVR録画の違い

ここで特に重要なのが、録画データの保存場所です。
カメラを盗まれると録画もなくなる?
microSDカードはカメラ本体に入っています。
そのため、侵入者が、カメラ本体を取り外して持ち去った場合、カメラと一緒にmicroSDカードもなくなる可能性があります。
つまり、犯行そのものは録画できていても、記録媒体まで持ち去られてしまう可能性があります。
NVR録画なら、レコーダーを別の場所へ設置することで、カメラが破壊・盗難されても、それまでにNVRへ送信された映像を残せる可能性があります。
防犯目的では重要な違いです。
HDDを大容量にすれば録画期間は延ばせる?
レコーダーがその容量に対応していれば、基本的にはHDD容量を増やすことで録画可能期間を延ばせます。
例えば、
4TB → 8TB
へ増やせば、同じ録画条件なら保存できる期間は概ね長くなります。
ただし、
レコーダーの最大対応容量
を超えるHDDは使用できない場合があります。
防犯カメラの保存期間を延ばしたい場合は、HDDだけを購入する前にレコーダー仕様を確認しましょう。
ではmicroSDカードは必要ない?
いいえ。
microSDには、NVRとは違ったメリットがあります。
特に有効なのが、NVR録画との併用です。
例えば、
カメラ → microSDへ録画
と同時に、
カメラ → LAN → NVRのHDDへ録画
という二重の記録ができる製品があります。
この構成なら、ネットワークに一時的な障害が発生してNVRへ映像を送れない間も、カメラ側のmicroSDへ録画を残せる場合があります。
ネットワーク障害時のバックアップとして使える
IPカメラでは、カメラとNVRの間にネットワークがあります。
例えば、
-
LANケーブルの断線
-
PoEスイッチのトラブル
-
ネットワーク障害
などが発生すると、NVRまで映像が届かなくなる場合があります。
カメラが電源を維持し、microSDへのローカル録画が継続できる構成なら、その間の映像をカメラ側へ残せる場合があります。
さらにシステムによっては、通信復旧後にカメラ側の録画をNVRへ補完するANR(Automatic Network Replenishment)などの機能があります。
ただし、カメラ・NVR双方の対応が必要です。
microSDカードにも寿命がある
microSDカードは半導体メモリーなので、機械的に回転するHDDとは構造が違います。
しかし、半導体だから永久に使えるわけではありません。
フラッシュメモリーには書き換え回数の限界があります。
特に24時間録画では、大量のデータを繰り返し上書きします。
そのため防犯カメラでは、一般的なデータ保存用ではなく、連続録画向けの高耐久製品を使用することが重要です。
容量が大きいと耐久性にも有利?
同じシリーズ・同じ録画条件で考えれば、大容量カードは書き込みをより広い記憶領域へ分散できるため、耐久性の面で有利になる場合があります。
例えば同じ映像を録画する場合、64GBより256GBの方が、カード全体を一周して上書きするまでの時間は長くなります。
ただし、耐久性は容量だけでは決まりません。
-
NANDの種類
-
書き込み耐久設計
-
カードの品質
なども関係するため、メーカーが公表している耐久仕様を確認することが重要です。
microSDカードの速度規格はどう見る?
microSDカードには、
-
Class 10
-
U1・U3
-
V10・V30
など、さまざまな速度表示があります。
これらは主に書き込み速度などに関する規格です。
高解像度・高ビットレート映像では、カメラが要求する書き込み速度を満たす必要があります。
ただし、防犯カメラ用途では、「高速なら高速なほどよい」とは限りません。
最高速度だけではなく、連続録画への耐久性とカメラメーカーが指定する規格を優先して選ぶことが重要です。
最大対応容量を必ず確認する
例えばカメラの仕様が、microSD最大256GB対応となっている場合、512GBや1TBのカードを入れても正常に認識するとは限りません。
また、
-
microSDHC
-
microSDXC
など対応規格にも違いがあります。
カードを購入する前に、カメラの仕様書で、
-
対応規格
-
最大容量
-
推奨カード
を確認しましょう。
microSDカードはカメラで初期化する
新しいmicroSDカードを取り付けた場合、カメラの設定画面からフォーマット(初期化)することが一般的です。
パソコンで使用していたカードをそのまま挿入するのではなく、カメラが指定する方法で初期化します。
また、フォーマットするとカード内のデータは消去されるため、必要なデータがある場合は事前にバックアップが必要です。
録画されているか定期的に確認する
HDDと同じく、microSDカードでも重要なのが録画確認です。
ライブ映像が正常に見えていても、
-
microSDカードを認識していない
-
カードにエラーが発生している
-
録画設定がOFFになっている
などの理由で、録画されていない可能性があります。
そのため定期的に、
昨日の映像を検索
↓
実際に再生
↓
正常に録画されていることを確認する
ことをおすすめします。
屋外カメラでは温度にも注意
屋外カメラ内部のmicroSDカードは、厳しい温度環境で使用される場合があります。
夏場はカメラ本体が高温になり、冬場は低温になることがあります。
そのため屋外用途では、書き込み耐久性だけでなく、カードの動作温度範囲も確認した方がよいでしょう。
特に工場、屋外駐車場、倉庫などでは設置環境も考慮して選定します。
安価なmicroSDカードでも大丈夫?
防犯用途ではおすすめしません。
microSDカードは外見がほぼ同じでも、
-
品質
-
耐久性
-
保証
などに違いがあります。
また、microSDカードは偽造品が流通することもあるため、信頼できるメーカー・販売店から購入することも重要です。
事件が発生したときに、
「カードが壊れていて録画されていなかった」
では、防犯カメラを設置した意味が大きく損なわれます。
価格だけで選ばないことをおすすめします。
microSD録画が向いているケース
microSD録画は、例えば次のようなケースに向いています。
-
カメラ1~2台程度の小規模システム
-
長期間保存する必要がない
-
AIイベントを中心に録画する
-
NVRを置くスペースがない
-
NVR録画の補助記録として使用する
特にNVR+microSDの併用は、IPカメラシステムの録画を補完する方法として有効です。
microSDだけに頼らない方がよいケース
一方、
-
カメラ台数が多い
-
1か月以上など長期間保存したい
-
複数カメラをまとめて検索したい
-
重要施設で録画消失リスクを減らしたい
-
カメラの盗難・破壊も想定する
といった場合は、NVR+HDDによる集中録画を基本にした方が管理しやすくなります。
microSDカードは非常に便利ですが、大容量レコーダーの完全な代替とは限りません。
よくある質問
普通のmicroSDカードを防犯カメラに使えますか?
カメラが認識する場合はありますが、24時間録画など書き込み量の多い用途では、監視・連続録画向けの高耐久タイプをおすすめします。
microSDカードがいっぱいになったら録画は止まりますか?
多くのカメラでは、上書き録画を有効にすると古い映像から順番に削除して新しい映像を保存します。機種・設定によって異なるため確認が必要です。
256GBなら何日録画できますか?
ビットレートや録画方式によって大きく異なります。例えば平均2Mbpsの24時間録画なら単純計算で約12日ですが、実際の保存期間は条件によって変わります。
512GBのカードを入れれば使えますか?
カメラが512GBに対応している必要があります。最大256GB対応機種なら使用できない可能性があります。
microSDとNVRへ同時録画できますか?
対応機種では可能です。カメラ側microSDとNVR側HDDの両方へ録画することで、録画の信頼性を高められる場合があります。
microSDならネットが切れても録画できますか?
カメラ自体の電源が維持され、ローカル録画機能が正常に動作していれば、ネットワーク障害中もmicroSDへ録画できる製品があります。
まとめ
防犯カメラ用microSDカードは、カメラ本体に映像を保存できる小型の記録媒体です。
特に、
-
レコーダーなしで録画できる
-
カメラ1台から導入しやすい
-
AIイベント録画と組み合わせやすい
-
NVR録画の補助として利用できる
といったメリットがあります。
一方、防犯カメラでは長時間にわたって大量のデータを書き込み続けるため、一般的なデータ保存用途とは使用条件が異なります。
そのため、
-
高耐久タイプを選ぶ
-
カメラの最大対応容量を確認する
-
必要な録画期間から容量を決める
-
定期的に実際の録画を再生する
ことが重要です。
そして、microSD録画で特に理解しておきたいのが、「録画データがカメラ本体にある」という点です。
カメラが盗難・破壊された場合のことまで考えるなら、
microSDだけ
ではなく、
microSD + NVR・HDD
という二重録画も検討するとよいでしょう。
防犯設備士からのワンポイントアドバイス
microSDカードを選ぶとき、つい、「128GBと256GB、どちらがいいか」という容量だけに目が向きがちです。
しかし、防犯カメラでより重要なのは、「そのカードが連続録画を想定した製品か」です。
防犯カメラは、写真を数枚保存する使い方とは違い、映像を書いて、消して、また書くという処理を長期間繰り返します。
特に24時間常時録画する場合は、高耐久タイプを使用することをおすすめします。
もう一つ重要なのが、microSDカードだけを録画先にするかどうかです。
例えば屋外に設置したカメラを犯人が取り外して持ち去れば、microSDに犯行映像が入っていても、その映像まで一緒になくなってしまいます。
重要な場所では、
カメラ側 → microSD
+
離れた場所 → NVR・HDD
というように録画先を分散させる方法も有効です。