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コーデック(H.265/H.264)とは?

防犯カメラの圧縮方式と画質・録画容量の関係

防犯カメラやレコーダーの仕様を見ると、

H.264

H.265

という表示を見かけることがあります。

これは、映像を圧縮して保存・伝送するためのコーデック(映像圧縮方式)です。

現在の防犯カメラは高画素化が進み、

200万画素、500万画素、800万画素(4K)

といった高解像度映像を扱うようになっています。

しかし、高解像度の映像を圧縮せずにそのまま保存すると、非常に大きなデータ容量が必要になります。

そこで重要になるのが映像圧縮です。

H.264やH.265を使って映像データを効率よく圧縮することで、画質をできるだけ維持しながら、

HDDの録画容量を抑える

ネットワークの通信量を抑える

ことができます。

この記事では、防犯カメラで使われるH.264とH.265の違いを分かりやすく解説します。

コーデックとは?

コーデックとは、映像や音声などのデータを圧縮・伸張(復号)するための仕組みです。

防犯カメラの場合、撮影した映像をそのまま保存するのではなく、H.264やH.265などの方式を使って圧縮します。

イメージすると、

カメラで撮影

H.264/H.265で映像を圧縮

ネットワークで伝送

NVR・DVRのHDDへ保存

再生時に映像を復号して表示

という流れです。

映像を小さなデータにして保存し、見るときに再び映像として表示する仕組みと考えると分かりやすいでしょう。

なぜ防犯カメラでは映像を圧縮するの?

防犯カメラは、一般的な動画撮影とは異なり、24時間365日録画することがあります。

さらに、

カメラ16台

カメラ32台

といった多台数のシステムも珍しくありません。

高解像度の映像を長期間記録するためには、膨大なデータ容量が必要になります。

そこで映像を圧縮することで、

① HDDの使用量を減らす

② 録画日数を延ばす

③ ネットワーク通信量を抑える

といったことが可能になります。

防犯カメラにとってコーデックは、単なる映像形式ではなく、録画容量や通信設計に直接関係する重要な技術です。

H.264とは?

H.264は、広く普及している映像圧縮方式です。

AVC(Advanced Video Coding)

とも呼ばれます。

防犯カメラだけでなく、さまざまな映像機器や動画サービスで長く使用されてきました。

H.264の特徴は、

  • 圧縮効率が高い

  • 対応機器が多い

  • パソコンなどで再生しやすい

  • 比較的古い機器にも対応している

ことです。

現在でも多くの防犯カメラ・NVR・DVRで利用されています。

H.265とは?

H.265は、H.264より新しい世代の映像圧縮方式です。

正式には、

HEVC(High Efficiency Video Coding)

とも呼ばれます。

名前のとおり、より効率よく映像データを圧縮することを目的として開発されています。

特に、

500万画素

800万画素(4K)

など、高解像度映像を扱う場合にメリットがあります。

同程度の見た目の品質を目指す場合、H.264より少ないビットレートで映像を記録できる可能性があります。

H.264とH.265の違い

大きな違いは、圧縮効率です。

大まかには、

H.264

圧縮効率:○

対応機器が多く、互換性に優れています。

H.265

圧縮効率:◎

H.264より効率的に映像を圧縮でき、高解像度・長時間録画に向いています。

簡単にいうと、

H.264 → 幅広い機器で使いやすい

H.265 → より少ないデータ量で高画質映像を扱いやすい

という違いがあります。

H.265ならデータ容量は半分になる?

H.265について、

「H.264の半分の容量で録画できる」

と説明されることがあります。

H.265はH.264と比較して、同等の主観画質を目標とした場合にビットレートを大きく削減できる可能性があります。

条件によっては50%程度の削減が目安として示されることもあります。

ただし、

H.265に変更すれば、どんな映像でも必ず録画容量が50%になる

という意味ではありません。

実際の圧縮率は、

  • 解像度

  • フレームレート

  • 映像内の動き

  • ビットレート設定

  • カメラメーカーの画像処理

  • CBR/VBR

  • 録画する場所

などによって変わります。

したがって、「H.265=必ず半分」ではなく、「H.264より高い圧縮効率を期待できる」と考える方が適切です。

なぜH.265はデータ量を小さくできる?

防犯カメラの映像には、前後のフレームで変化していない部分が多くあります。

例えば、誰もいない倉庫を撮影している場合、

などは、何秒経ってもほとんど変化しません。

毎回すべての画素情報を一から記録するのではなく、

「前の映像と同じ部分」

「変化した部分」

などを効率よく処理することでデータ量を減らします。

H.265ではH.264より高度な圧縮技術が採用されており、特に高解像度映像を効率よく圧縮できます。

圧縮すると画質は悪くならない?

一般的なH.264・H.265による防犯カメラ映像では、データ量を減らすために非可逆圧縮が利用されます。

つまり、圧縮によって映像情報の一部を省略します。

そのため、ビットレートを極端に低く設定すると、

  • 細かな文字がつぶれる

  • 人物の輪郭がぼやける

  • 動いたときにブロックノイズが出る

  • 木の葉など細かな部分が不自然になる

ことがあります。

重要なのは、

H.265だから低ビットレートでも無制限に高画質を維持できるわけではない

ということです。

必要な画質を確保できるビットレート設定が必要です。

H.265にすると画質が良くなる?

ここは誤解されやすいポイントです。

H.265は、基本的に圧縮効率を高めるための技術です。

そのため、

H.264からH.265へ変更しただけで、カメラの解像度そのものが上がる

わけではありません。

例えば500万画素カメラが、H.265に変更したことで800万画素になることはありません。

ただし、同じビットレートという条件で比較した場合には、H.265の方が圧縮効率の高さによって画質を維持しやすいケースがあります。

反対に、

同程度の画質を目標にして、H.265でビットレートを下げる

という使い方もできます。

H.264とH.265の比較

H264とH265の比較

H.265のメリット① HDD容量を節約できる

防犯カメラでH.265を利用する大きなメリットが、HDD使用量を抑えられることです。

例えば同程度の画質を保ちながらビットレートを、

H.264:4Mbps

から

H.265:2.5Mbps

まで下げられたと仮定します。

単純計算では、

H.264:

4Mbps × 24時間 ≒ 約43GB/日

H.265:

2.5Mbps × 24時間 ≒ 約27GB/日

となります。

1台では約16GB/日の差ですが、16台なら、

約256GB/日

もの差になります。

※数値は仕組みを説明するための単純計算例です。実際の必要ビットレートや録画容量は映像内容・設定等によって異なります。

H.265のメリット② 録画日数を延ばしやすい

HDD容量が同じなら、1秒あたりのデータ量を小さくできるほど録画期間を延ばせます。

例えば、

8TBのHDD

を搭載したレコーダーがあるとします。

H.264からH.265へ変更して必要なビットレートを抑えられれば、同じ8TBでもより長期間の映像を保存できる可能性があります。

これは、

  • 店舗

  • コンビニ

  • 工場

  • 倉庫

  • マンション

  • 病院

など、長期間録画を残したい施設では大きなメリットになります。

H.265のメリット③ ネットワーク通信量を抑えられる

IPカメラでは、映像をLAN経由でNVRへ送信します。

例えば16台のカメラがそれぞれ4Mbpsなら、

4Mbps × 16台=64Mbps

です。

同等の画質を保ちながら1台あたりのビットレートを2.5Mbpsまで抑えられれば、

2.5Mbps × 16台=40Mbps

になります。

 

このように、H.265によって必要ビットレートを削減できれば、ネットワークの負荷も抑えやすくなります。

多台数のIPカメラでは重要なポイントです。

H.265のデメリットは?

H.265にも注意点があります。

代表的なのが処理負荷と互換性です。

H.265はH.264より複雑な圧縮処理を行うため、映像を再生・デコードする機器にも相応の性能が必要になります。

古い、

  • パソコン

  • スマートフォン

  • NVR

  • 再生ソフト

では、H.265映像に対応していなかったり、再生時の負荷が大きくなったりする場合があります。

カメラがH.265対応でもNVRが対応していなければ使えない?

ここは重要です。

例えばIPカメラが、

H.264/H.265対応

でも、NVR側がH.264にしか対応していなければ、H.265で正常に録画できない場合があります。

防犯カメラシステムでは、

カメラ

NVR

再生ソフト・スマートフォン

まで含めてH.265に対応しているか確認する必要があります。

特に異なるメーカーのカメラとNVRを組み合わせる場合は注意が必要です。

録画映像をパソコンへバックアップするときも注意

事件やトラブルが発生した場合、レコーダーからUSBメモリーなどへ録画映像をバックアップすることがあります。

H.264は広く普及しているため、比較的多くのパソコン環境で扱いやすい方式です。

一方、H.265はパソコンの環境や再生ソフトによっては、そのまま再生できない場合があります。

そのため、録画映像を外部へ提出する可能性がある場合には、

専用再生ソフトを一緒に保存する

汎用形式へ変換して出力する

など、レコーダーのバックアップ機能を確認しておくことも大切です。

H.265+とは?

防犯カメラの仕様を見ると、

H.265+

Smart H.265+

H.265 AI

などの表記を見かけることがあります。

これらは一般に、H.265をベースとして、防犯カメラ映像の特徴に合わせてさらにデータ量を削減するメーカー独自の圧縮・ビットレート制御技術です。

例えば防犯カメラでは、

誰もいない時間が長い

背景のほとんどが動かない

という映像が多くあります。

そのような特徴を利用して、変化の少ない場面ではデータ量をさらに抑える仕組みなどが使われています。

H.265+はH.265と同じ規格?

完全に同じ意味ではありません。

H.265(HEVC)

は標準化された映像圧縮規格です。

一方、

H.265+など

は、メーカー独自の名称・技術であることが一般的です。

そのため、メーカーAのH.265+対応カメラと、メーカーBのNVRを組み合わせた場合、メーカー独自機能まで利用できるとは限りません。

異なるメーカーを組み合わせる場合は、標準H.265への対応と、メーカー独自機能への対応を分けて確認することが重要です。

動きの少ない場所では圧縮効果が高くなりやすい

映像圧縮の効果は、撮影する場所によっても変わります。

例えば、

夜間の無人倉庫

映像の変化がほとんどありません。

そのため、VBRやスマートコーデックなどではデータ量を大きく抑えられる場合があります。

一方、

人通りの多い店舗

人物が常に動き、映像の変化が多くなります。

屋外の樹木

風によって葉が常に動きます。

雨や雪

画面全体に細かな変化が発生します。

このような映像では、同じ設定でもデータ量が増える場合があります。

つまり、「H.265なら1日○GB」と一律には決められません。

CBR・VBRとの関係

コーデックと一緒に理解しておきたいのが、CBRVBRです。

CBR

設定したビットレートを基準に、比較的一定のデータ量で記録します。

VBR

映像の内容に合わせてビットレートを変化させます。

つまり、

H.264/H.265 → どのような方式で映像を圧縮するか

CBR/VBR   → どのようにビットレートを割り当てるか

という違いがあります。

同じものではありません。

解像度・fps・ビットレート・コーデックの関係

防犯カメラの録画設定では、この4つをセットで理解すると分かりやすくなります。

解像度

→ 1枚の画像をどれだけ細かく記録するか

フレームレート(fps)

→ 1秒間に何枚の画像を記録するか

ビットレート

→ 1秒間の映像にどのくらいのデータ量を割り当てるか

コーデック

→ その映像データをどのような方式で圧縮するか

例えば、

4K・15fps・4Mbps・H.265

という設定なら、

「4K解像度で1秒間に15フレームを扱い、H.265で圧縮して、4Mbpsを基準とした映像データにする」

という意味になります。

H.265ならビットレートは低ければ低いほどいい?

いいえ。

H.265は圧縮効率に優れていますが、ビットレートを必要以上に下げれば画質は劣化します。

例えば事件発生時に録画映像を拡大したところ、

人物の顔がつぶれている

車のナンバーが読めない

ということになれば、防犯カメラ本来の目的を果たせません。

HDD容量を節約することだけを優先せず、必要な映像品質を確保したうえで適切なビットレートを設定することが重要です。

防犯カメラではH.264とH.265のどちらを選ぶ?

現在の防犯カメラシステムで、カメラ・レコーダー・再生環境がすべて対応しているのであれば、H.265は有力な選択肢です。

特に、

  • 高解像度カメラ

  • 多台数

  • 長期間録画

  • HDD容量を抑えたい

  • IPカメラの通信量を抑えたい

という場合にはメリットがあります。

一方、

  • 古いレコーダーを使用する

  • 古いパソコンで再生する

  • 他メーカー機器との互換性を重視する

  • 外部へ映像を頻繁に受け渡す

場合などは、H.264を使用することもあります。

新しいから必ずH.265、というのではなく、システム全体の互換性まで確認して選ぶことが大切です。

よくある質問

H.265とH.264ではどちらが高画質ですか?

単純にどちらが高画質とはいえません。H.265はH.264より圧縮効率に優れており、同程度の画質をより少ないビットレートで実現しやすいことが特徴です。

H.265にすると録画容量は半分になりますか?

条件によって大きく削減できる可能性がありますが、必ず50%になるわけではありません。映像内容・fps・ビットレート設定などによって変わります。

H.265にするとカメラの画質が上がりますか?

カメラの解像度そのものが上がるわけではありません。主なメリットは圧縮効率の向上です。

H.265+とH.265は同じですか?

H.265は標準化された圧縮規格ですが、H.265+などはメーカー独自の圧縮・ビットレート制御技術であることが一般的です。

H.265の映像はどのパソコンでも再生できますか?

パソコンのOS、再生ソフト、ハードウェアなどによって異なります。バックアップ映像を外部へ渡す場合は、再生方法も確認しておくと安心です。

まとめ

コーデックとは、防犯カメラの映像データを圧縮・復号するための仕組みです。

代表的な方式には、

H.264
→ 対応機器が多く、互換性に優れている

H.265
→ H.264より高い圧縮効率を持ち、高解像度・長時間録画に向いている

があります。

H.265によって必要なビットレートを抑えることができれば、

HDD容量の削減

録画日数の延長

IPカメラの通信量削減

といったメリットがあります。

ただし、防犯カメラの映像品質はコーデックだけで決まりません。

解像度 × フレームレート × ビットレート × コーデック

をセットで考えることが重要です。

また、H.265を使用する場合には、カメラだけでなくNVR・パソコン・スマートフォン・バックアップ映像の再生環境まで対応しているかを確認しましょう。

防犯設備士からのワンポイントアドバイス

H.265の大きなメリットは、単に「ファイルサイズが小さくなる」ことではありません。

防犯カメラを16台、32台と設置する現場では、1台あたりのデータ量の差が積み重なり、必要なHDD容量やネットワーク通信量に大きな違いが出ます。

一方で、録画日数を延ばしたいからといって、H.265にしたうえでビットレートまで極端に下げるのはおすすめできません。

事件が起きてから、

「30日前まで残っていたけれど、人物の顔がつぶれて確認できない」

のでは意味がありません。

防犯カメラでは、「何日残すか」と「どの程度の映像品質で残すか」の両方を考えて録画設定を決めることが重要です。

この記事の監修

株式会社関東セキュリティ

創業20年。

関東エリアを中心に、工場・倉庫・店舗・病院・学校・マンションなど数多くの防犯カメラ施工を手掛けています。

本サイトでは、長年の施工経験をもとに、防犯カメラ選びで失敗しないための情報を分かりやすく発信しています。

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