イメージセンサーとは?
防犯カメラの画質・夜間性能を左右する重要部品
防犯カメラの仕様を見ると、
1/2.8型 CMOS
1/1.8型 CMOS
などと記載されていることがあります。
この「CMOS」が、カメラの中にあるイメージセンサーです。
イメージセンサーは、レンズから入ってきた光を受け取り、電気信号に変換して映像を作る重要な部品です。
人間の目に例えるなら、網膜に近い役割をしています。
防犯カメラの映像性能を考えるとき、
「500万画素だから高画質」
「800万画素だから夜間もきれい」
と画素数だけで判断しがちですが、実際の画質にはイメージセンサーも大きく関係しています。
特に、
-
夜間撮影
-
暗い場所でのノイズ
-
明暗差への対応
-
画素数
-
視野角
などを理解するには、イメージセンサーの知識が重要です。
この記事では、防犯カメラに使われるイメージセンサーについて分かりやすく解説します。
イメージセンサーとは?
イメージセンサーとは、レンズから入ってきた光を電気信号へ変換する半導体部品です。
防犯カメラでは、
被写体からの光
↓
レンズ
↓
イメージセンサー
↓
電気信号へ変換
↓
画像処理
↓
映像として出力
という流れで映像が作られます。
つまり、レンズが集めた光を実際に受け取って映像情報へ変えるのがイメージセンサーです。
カメラにとって非常に重要な部品といえます。
CMOSとは?
現在の防犯カメラで広く使用されているのが、CMOSイメージセンサーです。
CMOSは、
Complementary Metal Oxide Semiconductor
の略です。
現在では、防犯カメラだけでなく、
-
スマートフォン
-
デジタルカメラ
-
車載カメラ
-
Webカメラ
など、さまざまな映像機器に使用されています。
CMOSセンサーは技術の進歩によって高画質化・高感度化が進み、現在の防犯カメラでは主流となっています。
CCDとは?
以前の防犯カメラでは、CCDイメージセンサーも広く使われていました。
CCDは、
Charge Coupled Device
の略です。
かつては画質やノイズ性能などの面からCCDが多く採用されていましたが、CMOS技術の進歩によって現在ではCMOSが主流です。
そのため、新しい防犯カメラを選ぶ際に、
「CMOSかCCDか」
を最重要項目として比較する必要性は以前ほど高くありません。
むしろ現在は、CMOSセンサーのサイズ・画素数・感度やカメラ全体の画像処理性能などを見ることが重要です。
イメージセンサーの「1/2.8型」とは?
防犯カメラの仕様書には、
1/3型
1/2.9型
1/2.8型
1/2型
1/1.8型
などと記載されています。
これはイメージセンサーの光学フォーマット(型サイズ)を示す呼称です。
ここで注意したいのは、
1/2.8型=センサーの横幅や対角線が実際に1/2.8インチ
という意味ではないことです。
歴史的な表記方法に由来するため、実際の寸法とは異なります。
カメラを比較するときには、基本的に分母が小さいほど大型のセンサーと考えると分かりやすいでしょう。
例えば、
1/3型 < 1/2.8型 < 1/1.8型
の順に大きくなります。
センサーサイズが大きいと何が違う?
一般的に、同じような条件で比較すると、センサーが大きいほど光を取り込みやすくする設計上の余裕を持たせやすいというメリットがあります。
防犯カメラでは、特に夜間性能に関係します。
明るい昼間なら十分な光がありますが、夜間や薄暗い室内ではセンサーへ届く光が少なくなります。
光を十分に受け取れないと、
-
映像が暗くなる
-
ノイズが増える
-
細部がつぶれる
-
動いている人物が見えにくくなる
などの問題が起こりやすくなります。
大型センサーは、こうした低照度環境で有利になる場合があります。
ただし、センサーが大きければ必ず夜間映像がきれいになるわけではありません。
レンズの明るさや画素サイズ、画像処理なども影響します。
画素数とイメージセンサーの関係
イメージセンサーには、多数の画素が配置されています。
例えば、
約200万画素
約500万画素
約800万画素
などです。
画素数が増えるほど、一般的にはより細かな映像情報を記録できます。
そのため、
200万画素 → 500万画素 → 800万画素
と高画素になるほど、細部を確認するには有利です。
しかし、ここで重要なのがセンサーの大きさとの関係です。
高画素なら必ず高画質?
必ずしもそうとは限りません。
例えば、同じ大きさのイメージセンサーに、
200万個の画素
を配置する場合と、
800万個の画素
を配置する場合を考えてみましょう。
単純化すると、800万画素の方が一つ一つの画素を小さく配置する必要があります。
画素が小さくなると、1画素あたりで受け取れる光量が少なくなりやすいため、特に暗い場所では不利になることがあります。
つまり、
画素数を増やすこと
と
一つの画素で十分な光を受け取ること
には、設計上のバランスがあります。
画素ピッチとは?
イメージセンサーを詳しく見ると、画素ピッチ(Pixel Pitch)という数値があります。
これは一般的に、隣り合う画素の中心間隔を示します。
例えば、
2.0μm
2.9μm
などと表記されます。
μm(マイクロメートル)は、1mmの1,000分の1です。
一般論として、同じセンサー技術・条件であれば画素ピッチが大きい方が、1画素あたりの受光面積を確保しやすくなります。
そのため低照度性能を考える際の一つの参考になります。
ただし、実際の感度は画素ピッチだけで決まるものではありません。
夜間性能はセンサーだけで決まらない
防犯カメラの夜間性能には、イメージセンサーが大きく関係します。
しかし、
大型センサー=必ず夜間に強い
とは限りません。
実際の夜間映像には、
-
イメージセンサー
-
画素サイズ
-
レンズのF値
-
シャッタースピード
-
画像処理
-
ノイズリダクション
-
赤外線照明
-
可視光照明
など、多くの要素が影響します。
防犯カメラはシステム全体で映像を作っているため、センサーのスペックだけで判断しないことが重要です。
最低被写体照度との関係
暗所性能を比較する際には、仕様書の最低被写体照度も参考になります。
例えば、
0.01Lux
0.005Lux
などと記載されていることがあります。
一般的には数値が小さいほど、少ない光でも映像を得られることを示します。
ただし、メーカーによって測定条件が異なる場合があります。
例えば、
-
F値
-
シャッタースピード
-
AGC
-
白黒/カラー
などの条件が違えば、Lux値だけを単純比較することはできません。
「0.001Luxだから必ず0.01Luxよりきれい」と判断するのではなく、測定条件や実際の映像も確認することが大切です。
イメージセンサーと視野角の関係
イメージセンサーのサイズは、視野角にも関係します。
同じ焦点距離のレンズを使用しても、センサーサイズが異なれば視野角が変わります。
一般的には、同じ焦点距離・同様のレンズ条件なら、
大きなセンサー
→ より広い視野角
小さなセンサー
→ より狭い視野角
になります。
そのため、
「2.8mmレンズなら必ず水平視野角○○°」
とはいえません。
防犯カメラを選ぶ際は、焦点距離だけではなく、メーカーが公表している実際の水平視野角を確認することが重要です。
イメージセンサーと焦点距離の関係
焦点距離はレンズ側の数値ですが、実際にどの範囲が映るかはイメージセンサーとの組み合わせによって決まります。
例えば、同じ2.8mmレンズでも、
センサーA
と
センサーB
でサイズが違えば、同じ視野角になるとは限りません。
つまり、
焦点距離だけでは実際の撮影範囲は決められない
ということです。
これが、防犯カメラの仕様書で焦点距離と視野角の両方を確認した方がよい理由です。
イメージセンサーとWDRの関係
店舗入口などでは、
明るい屋外
と
暗い室内
が同時に映ることがあります。
このような大きな明暗差に対応する機能がWDR(ワイドダイナミックレンジ)です。
WDR性能には、センサーの撮像能力だけでなく、複数露光などの読み出し方式や画像処理も関係します。
そのため、
イメージセンサーの性能 + カメラの画像処理技術
の両方が重要になります。
単純にセンサーサイズだけでWDR性能を判断することはできません。
ローリングシャッターとは?
多くのCMOSイメージセンサーでは、画面全体を完全に同時に読み出すのではなく、順番に読み出すローリングシャッター方式が採用されています。
通常の防犯用途では問題にならないことも多いのですが、高速で動く対象などでは、
-
車両が傾いて見える
-
高速回転する物体が歪んで見える
などの現象が起こる場合があります。
一方、画面全体をほぼ同時に撮像するグローバルシャッター方式もあります。
高速移動物体の撮影などで有利ですが、一般的な防犯カメラではローリングシャッター方式が広く使われています。
STARVISなどの表記は何?
防犯カメラの仕様には、センサーメーカー独自の技術名称が記載されていることもあります。
代表例として、ソニーのSTARVISなどがあります。
こうした技術は、監視カメラなどで求められる低照度環境での撮影性能向上を目的としたセンサー技術です。
ただし、
「STARVIS搭載=すべてのカメラで同じ夜間性能」
というわけではありません。
同じセンサー技術を使用していても、レンズ・画像処理・カメラ設定などによって実際の映像は変わります。
イメージセンサーは大きければ大きいほどいい?
大型センサーにはメリットがありますが、単純に大きければよいというものでもありません。
大型化すると、
-
カメラやレンズの設計
-
製品サイズ
-
コスト
などにも影響します。
また、十分な性能を持つ小型センサーを搭載した防犯カメラも多数あります。
重要なのは、センサーサイズだけを見るのではなく、設置場所で必要な映像性能を満たしているかです。
防犯カメラのイメージセンサーはどう選ぶ?
一般の方が防犯カメラを選ぶ際に、イメージセンサーの型番まで詳しく比較する必要はありません。
ただし、次のような用途ではセンサー性能を意識するとよいでしょう。
明るい室内
一般的なCMOSセンサーでも十分な映像を得られる場合が多くあります。
夜間の駐車場
センサーサイズや低照度性能、レンズ、赤外線性能などを確認します。
わずかな照明でカラー撮影したい
大型センサーや高感度センサー、明るいレンズなどが重要になります。
店舗入口
逆光が大きいため、センサーだけでなくWDR性能も重要です。
つまり、「センサーが何型か」ではなく、「その場所で必要な映像が撮れるか」から選ぶことが大切です。
画素数・センサーサイズ・レンズをセットで考える
防犯カメラの画質を考えるときは、一つのスペックだけを見ないことが重要です。
例えば、
画素数
→ どれだけ細かな映像を記録できるか
イメージセンサー
→ 光を受け取って映像情報へ変換する
レンズ
→ 光を集め、撮影範囲を決める
というように、それぞれ役割が違います。
さらに画像処理、圧縮、ビットレートなども最終的な録画映像に影響します。
防犯カメラは、複数の要素の組み合わせで画質が決まると考えましょう。
よくある質問
CMOSとCCDではどちらが高画質ですか?
現在はCMOS技術が大きく進歩しており、防犯カメラではCMOSが主流です。CMOSかCCDかだけで画質の優劣を判断するのは適切ではありません。
1/2.8型と1/1.8型ではどちらが大きいですか?
1/1.8型の方が大きいセンサーです。分数の分母が小さくなるほど大型になると考えると分かりやすいでしょう。
センサーが大きいほど夜間に強いですか?
一般的には低照度撮影で有利になる可能性があります。ただし画素サイズ、レンズ、シャッタースピード、画像処理なども影響するため、センサーサイズだけでは判断できません。
800万画素なら200万画素より夜間もきれいですか?
必ずしもそうではありません。高画素化によって細かな情報を記録できる一方、センサーサイズや1画素あたりの受光性能なども夜間画質に影響します。
同じ2.8mmレンズなのに視野角が違うのはなぜですか?
イメージセンサーのサイズやレンズ設計などが異なるためです。そのため、焦点距離だけでなく実際の水平視野角を確認することが重要です。
まとめ
イメージセンサーとは、レンズから入った光を電気信号へ変換し、映像を作るための重要な部品です。
現在の防犯カメラでは、CMOSイメージセンサーが主流となっています。
イメージセンサーを見るときには、
-
センサーサイズ
-
画素数
-
画素サイズ
-
低照度性能
などがポイントになります。
特に注意したいのが、
「画素数が多い=どんな条件でも高画質」ではない
ということです。
昼間の解像感だけでなく夜間撮影まで考えるなら、画素数だけでなくセンサーサイズ・レンズ・画像処理・照明などを総合的に考える必要があります。
防犯設備士からのワンポイントアドバイス
防犯カメラを比較するとき、
200万画素
500万画素
800万画素
といった画素数は非常に分かりやすいため、どうしても「数字が大きいカメラほど高性能」と考えがちです。
しかし、防犯カメラは昼間だけ撮影するものではありません。
むしろ防犯上重要なのは、夜間や薄暗い場所で人物をどの程度確認できるかというケースもあります。
そのため、カメラを選ぶ際は、
画素数だけでなく、イメージセンサー・レンズ・最低被写体照度・赤外線・WDRなども確認する
ことをおすすめします。
特に同じ800万画素でも、すべてのカメラが同じ映像になるわけではありません。
「何万画素か」だけではなく、「実際の設置環境でどう映るか」まで確認すること。
これが防犯カメラ選びでは重要です。