【二度と失敗しない】防犯カメラ
【二度と失敗しない】
防犯カメラの選び方
ここでは、防犯カメラの基礎知識をご説明しつつ、初めて防犯カメラ選びに直面される方が犯しやすい間違いをご紹介します。
最後まで読まれた方は、ネットにあふれる誤った口コミや恣意的なランキングに惑わされることなく、ご自身の力で判断できるようになります。
目次
これで失敗!X社スパイラル
これで失敗!ワンケーブル方式スパイラル
7.2 パーキング、アパート、資材置き場 防犯カメラ設置台数2~4台程度
7.3 マンション、医院、事務所、幼稚園、神社仏閣 防犯カメラ設置台数4~8台程度
7.5 小規模な店舗(コンビニ程度) 防犯カメラ設置台数8~12台程度
7.6 中規模な店舗(スーパー)、病院、パチンコ店、工場 防犯カメラ設置台数10~20台程度
7.7 ショッピングモール、大工場、大規模施設 防犯カメラ設置台数20台程度~

防犯カメラの基礎知識
一口に防犯カメラといっても色々な種類があります。どこに取り付けるのか、設置目的も重要ですよね。
理解しやすいようにザックリと解説します。
アナログとデジタル
防犯カメラを大別する基準は、用いられている映像信号の種類とその配線方法がわかりやすいです。
デジタル信号の代表格は、IPカメラです。ネットワークカメラともいいます。
配線にはLANケーブルを用います。画素数は30万画素程度のものから1000万画素を超えるものまでラインナップされています。
一方のアナログ信号。配線は同軸ケーブルを用います。テレビ配線によく用いらるケーブルです。
かつてのアナログ信号の代表格はCVBS。画素数は50万画素前後です。
数年前から登場したのは、AHD、CVI、TVIと呼ばれる信号で、アナログでありながら100万画素以上の映像を可能にしました。今では100万画素~800万画素(4Kレベル)程度までラインナップされてます。
例外もご紹介します。同軸ケーブルを用いたデジタル信号、HD-SDI、EX-SDI方式です。画素数は200万画素~800万画素(4Kレベル)程度まで。ただし、値段は比較的高価であまり普及はしてないです。
ここまで読んで、デジタル(IPカメラ)の方がいい、などと早合点はいけません。
デジタル(IPカメラ)と聞くと、なんとなく最先端のような気がしてしまいますよね。
違うんです。用途や目的、予算に応じて使い分けることがポイントなんです。
アナログカメラとIPカメラの違いは、「アナログカメラとIPカメラの基礎知識」でも詳しく解説しています。

ボックスタイプの防犯カメラ
画素数
防犯カメラの画素数は、おおむね50万画素程度のものからラインナップされています。
高解像度機種になると、デジタル系(IPカメラ)では1000万画素以上、アナログ系でも800万画素(4K)レベルまであります。
売れ筋はフルHD(200万画素)です。
ひと昔前のDVD画質レベルですので、このあたりの画素数があればまずは問題なしです。
ただし、画面を拡大(デジタルズーム)して車のナンバーを見たい、とか、レジでのつり銭を1円レベルまではっきり見たい、となると、200万画素では役不足です。
400万画素、あるいは500万画素程度は必要でしょう。もちろん、録画データも大きくなりますので、それなりのHDD容量が必要ですし、モニターも4Kレベルの高解像度タイプがあればよりいいでしょう。
メガピクセルカメラの落とし穴
「メガピクセルカメラが安い」なんていうネット広告、見たことないですか?
「メガピクセルカメラ」って聞くと、なんか高性能なカメラっていうイメージわきませんか?
でも、「メガピクセルカメラ」って、防犯カメラではいったい何を意味するのでしょうか?
実はこれ、100万画素以上のカメラのことなんです。
防犯カメラでは、一般的に130万画素カメラのことです。
メガピクセルカメラ(特に130万画素レベルのカメラ)は安いに決まってます。なぜって、すでに主流は200万画素(フルHD)なんですから。
分かっていてあえて130万画素レベルのカメラを買うのと、そうではなく、何も知らずに買うのとでは意味が違いますよね。
「落とし穴」にはまらないよう注意すべきポイントです。

ボックスカメラをハウジングに収納すると屋外設置可能
防犯カメラの外観
設置場所が屋内か屋外かによって、防犯カメラの外観は大いに違ってきます。
まずは屋内用。
現在の主流は、ドーム型です。その場の雰囲気によく溶け込んでスタイリッシュで洗練されたイメージ。
一方、防犯カメラの存在を周囲にアピールしたいのならば、ボックス型です。
設置目的によって使い分けましょう。
ただ、店舗や施設では威圧感を与えないドーム型が好まれています。
次に屋外用。
屋外ですので防水対策が必要です。
カメラタイプとしては、バレット型(ブレット型あるいはガンタイプとも)、ドーム型、ハウジング型があります。
バレット型は防水対策がしっかりと施されており、通常夜間撮影に威力を発揮するIR(赤外線)機能が付いています。
ドーム型も屋外用ではしっかりと防水対策が施されています。軒下に設置される場合がほとんどです。室内用のドームカメラはプラスティックの外装ですが、屋外用では金属ケースに収められています。見た目は白か黒が多く、一見プラスティックに見えますが、実は金属製です。たたいても壊れません。IR機能が有るものと無いものがあります。
ハウジング型は、屋内用のボックス型カメラを防水仕様のハウジングに収めたものです。IR機能はありません。かつての屋外用カメラの主力でしたが、最近では少なくなってきました。

ドーム型

バレット型
夜間撮影機能
防犯カメラによってはIR(赤外線)機能が付いているものがあります。
一定の照度以下になると、自動的にカメラレンズ周囲に配置された赤外線(IR)が照射され、白黒映像ではありますが、(極端な話、光がなく真っ暗な状態でも)鮮明に撮影することができます。
IR機能が動作すると、防犯カメラレンズの周囲に配置された赤外線照射用LEDが赤く光ります。
赤く光りますので、犯罪抑止効果も高まります。
赤外線LEDの個数や赤外線照射距離にもいろいろあります
。
一般的に、LED個数が増えるほど、あるいは、赤外線照射距離が長くなるほど価格は上昇します。
低価格タイプでは、赤外線照射距離はだいたい20mです。ネットで安価で出回っているのはこのタイプです。
そのほかにも、赤外線照射距離40mや70m程度のものまでラインナップされています。
設置目的にあわせスペックをしっかりと調べてみてください。
ズームワイド機能
光学的に被写体を拡大する機能のことです。バリュフォーカルともいいます。
例えば、一眼レフカメラでは、レンズの周囲を回すことにより、被写体に寄ったり離れたりしますね。この機能のことです。
一方、スマホでは、撮影時に画面を指で拡大すると、被写体に寄った感じがしますが、これはデジタルズームです。
デジタルズームでは画質が著しく低下します。
防犯カメラでは、ズームワイド機能が付いているものと、そうでないもの(単焦点レンズ)があります。
ズームワイド機能付きのカタログを見ると、例えば、「f=2.7-2.8mm」のように記載されていたり、「バリュフォーカル」と書かれている場合もあります。
f=2.7mm は広角側で、画角を広く撮影できます。fの値が大きくなるにつれ、映像は被写体に寄っていきます。f=50mm程度までラインナップされています。
当然、単焦点レンズは安価で、ズームワイド(バリュフォーカル)レンズになると高価になります。
駐車場撮影などで、あらかじめ広角にしか撮影しない場合は、単焦点レンズを選択すると安上がりになります。
一方、例えば一軒家の壁面に取り付ける場合、お隣の家を撮影はしたくない、などの理由で撮影範囲を狭くしたいのであれば、ズームワイド機能を用いて調整したほうがいいでしょう。
低価格商品は、まず単焦点レンズですので、購入前にスペック確認しましょう。
WDR
画面に明るい部分と暗い部分が混在する場合を思い浮かべてください。
例えば、太陽光がさんさんと降り注ぐ明るい屋外で、軒下の日陰部分を撮影する場合です。
カメラは、画像の大部分を占める明るい部分に明暗をあわせるため、日陰部分が黒くつぶれてしまいます。
逆に、画像に暗い部分が多い場合は、カメラは暗い部分に明暗をあわせるため、明るい部分は真っ白になってしまいます。
これを補正するのがWDR機能です。すなわち、明るい部分も暗い部分も両方同時に明瞭に撮影する機能です。
今では、ほとんどの防犯カメラにこの機能は付属しています。

ネットワークカメラの特徴 故障したらどうする
これで失敗!X社スパイラル

サブタイトルに「失敗」とあえて入れました。そうです。これで私は大失敗しました。
原因は、設置目的と防犯カメラシステムの不一致です。言い換えれば、私の勉強不足です。
ネットワークカメラのシステムは
レコーダー(ネットワークカメラの場合、NVRとよく言われます)
+
PoEハブ(この機能が録画機に内蔵されている場合もある。その場合は不要)
+
ネットワークカメラ(IPカメラ)
のように構成されています。

NVR
PoEハブ
LANケーブル
おおざっぱに言うと、PoEハブはどこのメーカーのものでもいいんですが、レコーダー(NVR)とネットワークカメラ(IPカメラ)のメーカーは一致させないと映像が出力されない、という大原則があります。
例えば、レコーダーをP社、ネットワークカメラをM社とする場合、基本的には動作しない、と考えてください。
もちろん例外もあります。レコーダーとネットワークカメラのメーカーがそれぞれ異なっているのに映像が出力される場合もあります。ですが、組み合わせは無限です。P社も一口にレコーダーといってもいろんな機種をラインナップしてますし、M社もまたしかり、です。こうなると、業者に確認するしかないですし、ひょっとしたら、「やってみないと分からない」などといった返答がかえってくるでしょう。
ここで私の事例。
高いお金を払い、P社のネットワークカメラを導入しました。5年後、レコーダーのHDD(ハードディスク)が不調となり、修理することになりました。
ですが、さすが大手メーカーのP社だけあって、HDD修理も高い。
いっそのこと、安価なレコーダーを新規にネット購入しようといろいろ調べたら、他社製品では映像出力しない可能性が高い、との結論に達しました。
システムを丸ごと安価な他社製に交換するか、P社製レコーダーの修理に高額な修理代金を払うしかありませんでした。
いろいろ悩みましたが、今後のことを考え「P社スパイラル」から脱出する道を選択しました。
勉強代は高くつきました。
自宅に安価なネットワークカメラを数台設置する場合は、また話が違ってきます。
たった2~3台ですから、レコーダーとカメラをすべて入れ替えたってたかがしれてますよね。ネットで数万円です。
店舗で10台防犯カメラをすでに導入してる場合、これは大問題ですよね。
台数が多い場合は、将来のメンテナンスコストも考えて、防犯カメラシステムを導入すべきでした。(反省)

アナログカメラの特徴 故障したらどうする
これで失敗!ワンケーブルスパイラル

アナログ方式のカメラの場合に犯しやすい誤りです。
すでにご紹介したようにアナログカメラの配線には同軸ケーブルを用います。
実は、アナログカメラへの電源供給方式には2種類あるんです。これがクセモノ。
一つ目の方式は、アナログカメラへの電源供給に専用の電源ケーブルを配線する方式です。
ここでは、電源別配線方式(ツーケーブル方式)と呼ぶことにします。

同軸ケーブル
録画機
電源別配線方式(ツーケーブル方式)
二つ目の方式は、「ワンケーブル用電源ユニット」という機器を用いて、カメラへの電源供給とカメラからの映像信号のやりとりを1本の同軸ケーブルで行う方式です。「ワンケーブル」あるいは「電源重畳」といわれる方式です。

同軸ケーブル
同軸ケーブル
録画機
電源ユニット
ワンケーブル方式
ワンケーブル方式では、レコーダー~電源ユニット間は映像信号のやりとり、電源ユニット~カメラ間は、映像信号のやりとりと電源供給を1本の同軸ケーブルで同時に行っています。すなわち、カメラからの映像信号は電源ユニットで分離され、映像信号のみとなって録画機へ入力されているのです。
しかも、電源ユニットとカメラは、基本的に同一メーカーのものでないと動作しません。
例えば、導入後に電源ユニットが故障した場合、同一メーカー品を購入する必要があります。
実は、この電源ユニットが高価。
購入したカメラのうちカメラ1台に不具合が発生した場合はどうでしょう。他社製の安価なものがあったとしても購入できません。電源ユニットとカメラのメーカーが異なるからです。どうしても他社製を導入したいのであれば、電源ユニットとカメラをすべて交換する必要があります。
もうお分かりですね。将来のメンテナンスを考えた場合、消費者に有利なのは「ツーケーブル方式」です。商品選択の幅が広がります。一方、メーカー側に有利なのは「ワンケーブル方式」です。消費者を自社メーカー品に縛り付けることができます。
Made in Japan の落とし穴

たまに見かけたことないですか、こんなキャッチコピー「防犯カメラ Made in Japan」
日本製の防犯カメラなので信頼できます、ということでしょうか。
でも、それ間違いないでしょうか。
防犯カメラをいろいろと調べ、自分で取付までするようになると、専門家の知人も増えます。なかには、日本向けに防犯カメラを輸出している海外メーカーの方もいらっしゃいます。
考えてみると、防犯カメラに使われている電子基板やチップ、外装など、すべてを日本で製造し組立しているメーカーなんてあるんでしょうか。大半の部品は外国製です。そもそもMade in Japanの定義もあいまいです。
私が調べたところ、部品を外国から輸入し、組立の最終工程のみを日本で行ったとしても、Made in Japanと表示できる、ということです。内容的には、Assembly in Japanと同義ですよね、これは。
Made in Japanの売り文句に飛びつくのは危険だと感じました。
事実、日本向けに防犯カメラを輸出している海外メーカーの方は、「半完成品を日本向けに輸出し、Made in Japanとして販売しているケースは多々ある」と話してくださいました。

警備保障会社系の防犯カメラ

すでに警備保障会社と警備契約を結んでいる際に、そこの警備保障会社から防犯カメラを追加購入する場合と、まったく新規に警備保障会社から防犯カメラのみ購入する場合があります。
警備保障会社系の防犯カメラでは、一般的に画質がやや低いにもかかわらず高価なケースが散見されます。
また、ケースバイケースですが、警備契約締結の見返りとして極端に低価格で防犯カメラが提供される場合もあるようです。
極端に低価格の場合は、問題ありませんが、価格が高い場合は他社の話も聞いてみるべきです。
もちろん、他社製カメラの映像を警備会社へ配信することも可能です。
「よくわからなかったので、契約している警備保障会社から防犯カメラ機器を追加購入したが、画質が低いので5年後に他社に入れ替えた」というような話はよくあります。
警備保障会社系の防犯カメラ機器は、導入前にスペックを充分確認されることをお勧めします。

融通のきく映像信号方式
将来的なメンテナビリティ(保守作業の容易さや保守に伴うコスト)を考えた場合に、最も有利な防犯カメラはどのようなものでしょうか?
ズバリ言います。映像信号はアナログのAHD信号、配線はツーケーブル方式です。
ただし、設置場所や目的を考慮しない場合です。
AHD(ツーケーブル方式)が有利となる主な理由を4点挙げます
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比較的安価
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普及している
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防犯カメラに不具合発生した場合でも、多くのメーカーでラインアップしており、不具合カメラを交換するだけで対応できる。
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録画機に不具合が発生した場合でも、多くのメーカーでラインアップしており、不具合録画機を交換するだけで対応できる。
アナログの高解像度信号形式は、AHD、TVI、CVIの3種類ありますが、日本で最も普及しているのはAHDです。したがって、価格も安価です。
また、ツーケーブル方式の防犯カメラを選択することにより、将来的に、防犯カメラや録画機が故障した場合の防犯システム総入れ替えリスクを限りなく小さくできます。
では、設置場所や設置目的を勘案するとどうでしょうか。
ケーススタディ

ここでは設置場所や設置目的別に、メンテナビリティを考慮しながら、推奨される防犯カメラスペックをみていきます。
個人住宅 防犯カメラ設置台数1~2台程度
最近は住宅に防犯カメラを設置される方も増えてきました。
大手通販サイトを見ると、ワイヤレス防犯カメラ4台セットが数万円、などと格安販売されているものもあります。
ご自身で取付できるのであれば、ワイヤレス防犯カメラは「買い」です。
ただし、注意すべき点もいくつかあります。
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無線カメラとはいえ、必ず電源は必要です。カメラ取付位置付近に電源がない場合、自分で延長コードを取り付ける必要があります。屋外の場合、紫外線対策や防雨対策も必要です。
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レコーダーの設定も自分で行わなくてはなりません。
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ズームワイド機能はまず付属していません。
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将来的に防犯カメラまたは録画機のどちらかが故障した場合、すべてを買い替える可能性もあります。価格的には、たとえ買い替えになったとしても我慢できるレベルでしょう。
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ネット販売の低価格カメラと、大手メーカー製の同一画素数のカメラとを比較すると、低価格カメラは画質で劣る場合がよくあります。採用されているイメージセンサの質の差が原因と思われます。
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自分で取付できない場合、取付を近所の電気店に依頼することになりますが、嫌がられる場合もあります。電気店にとってみれば、防犯カメラそのものも販売したいですよね。
上記に注意すれば、コスパ的には申し分ないでしょう。
ただ、個人住宅とはいえ、ズームワイド機能や将来的なメンタナビリティを考慮するのであれば、アパートや事務所などの小規模施設に準じて検討すべきでしょう。
パーキング、アパート、資材置き場 防犯カメラ設置台数2~4台程度
コインパーキングでは、基本的に自動精算です。
精算機周辺や車のナンバーを明瞭に記録できる性能、そして営業用途ですので信頼性も求められます。
アパートや資材置き場での悪質ないたずらや盗難事件もよくニュースで目にします。
低価格品は避けたほうが無難です。
お勧めはIPカメラまたはアナログAHDカメラ、画質は200~400万画素程度、ズームワイド機能は必須でしょう。
価格的には、アナログカメラに軍配が上がります。
マンション、医院、事務所、幼稚園、神社仏閣 防犯カメラ設置台数4~8台程度
日常的に我々が利用する施設規模です。
業務用ですので、ネット通販の低価格品は除外すべきです。画質は200~400万画素程度必要です。
施設の四方八方に防犯カメラを設置するケースがほとんどでしょうから、配線の施工内容にもよりますが、まずは、アナログAHDカメラが価格的に有利だと思われます。

アパート・マンションへの設置パターンについては、「【二度と失敗しない】防犯カメラ アパート・マンション設置」でも詳しく解説していますので、参考にしてください。
ビル 防犯カメラ設置台数4~10台程度
4階建て程度までのビルと5階建て程度以上のビルでお勧めシステムが違ってきます。
例えば、5階建てのビルで、1階の管理人室でカメラ映像を集中管理し、5階と6階にそれぞれカメラを5台ずつ取り付ける場合を考えてみましょう。
IPカメラの場合には、5階にPoEハブを設置すれば、1階~5階の配線はLANケーブル1本で事足ります。カメラ10台分の映像信号のやりとりがLANケーブル1本でできるのです。
一方、アナログカメラでは、カメラの台数分の同軸ケーブルが必要です。1階~5階に同軸ケーブル5本、1階~6階にも同軸ケーブル5本の配線が必要になります。
一般的に、IPカメラは高価でアナログカメラは安価ですが、この5階建てビルのケースの場合、アナログカメラがいくら安価といっても、同軸ケーブルを10本も配線すれば、ケーブル長と配線工事代金を勘案すると、アナログカメラを取り付けたほうが高価になってしまう場合も考えられます。
施工業者から、IPカメラとアナログカメラ双方の見積もりをとって判断すべきでしょう。もちろん将来的なメンテナビリティも同時に考慮してください。

IPカメラ
PoEハブと録画機の接続は、LANケーブル1本

アナログカメラ(ツーケーブル方式)
同軸ケーブルはカメラの台数分必要
小規模な店舗(コンビニ程度) 防犯カメラ設置台数8~12台程度
コンビニ程度の小規模店舗の場合、防犯カメラは事務室を扇形の中心として四方八方に取り付けられるケースがほとんどです。5階建て程度以上のビルのケースのように、一方向のみに多数のカメラを配線することはまずありません。
したがって、アナログカメラがコスパで圧倒的に有利となります。
このパターンでIPカメラの導入は除外すべきでしょう。メリットはありません。
もし、IPカメラシステムがアナログシステムより安価な見積もりがあるのならば、機能差(容量、ズームワイド機能の有無、画素数)に着目し再度比較検討をするべきでしょう。
同一スペックならば、アナログカメラの方が安価です。

コンビニでのカメラ設置レイアウト
コンビニ設置パターンについては、「【二度と失敗しない】防 犯カメラ コンビニ設置」でも詳しく解説していますので、参考にしてください。
中規模な店舗(スーパー)、病院、パチンコ店、中規模工場 防犯カメラ設置台数10~25台程度
防犯カメラを四方八方に設置するのか、それとも、監視室が施設の1階あるいは端に位置し、一方向に多数のカメラを設置するのかで変わります。
カメラを四方八方に設置するのならば、アナログカメラを導入すべきでしょう。
一方向に多数のカメラを設置するのであれば、IPカメラにより施工費を安価に抑えられる可能性はあります。
しかし、すべてのカメラを一方向に多数設置することは考えにくく、合計台数が25台程度までであれば、アナログカメラの方がコスパ有利だと思われます。ケースバイケースですので、しっかりと見積もりを比較検討してください。
ショッピングモール、大工場、大規模施設 防犯カメラ設置台数25台程度~
防犯カメラは施設内の四方八方に設置されると思われますが、設置台数が増えると、一方向に設置されるカメラ台数も当然増えます。
この場合、IPカメラを採用することで、配線コストを抑えることができます。
IPカメラは同一スペックのアナログカメラに比べ高価ですが、数十台程度を設置するケースでは、IPカメラ採用による配線コストの低減分が、IPカメラ本体とアナログカメラ本体との差額を上回ってきます。
ケースバイケースですが、おおむね25~30台以上導入するのであれば、IPカメラの方が価格的に有利になるようです。
将来的なメンテナビリティもあわせて検討してください。
まとめ

設置目的や用途別にお勧めできる防犯カメラをまとめてみます。
また、代表的な信頼のおける設置業者も掲載してあります。参考にしてください。
画素数については、最低でも200万画素はあったほうがいいと思います。
レジでのつり銭確認、駐車場でのナンバー確認では、400万画素は必要でしょう。
防犯カメラの導入では、なんといっても初回導入機種の選定が重要です。
この選定を誤ると、将来余計な支出を強いられる可能性が出てきます。
ポイントは3つ。
-
設置目的や用途を明確に
-
設置目的にマッチする機種選定をする
-
将来的なメンテナビリティも考慮する
スパイラルにはまらないよう、慎重に検討なさってください。
