【二度と失敗しない】防犯カメラ
【二度と失敗しない】防犯カメラ
アナログカメラとIPカメラの基礎知識

防犯カメラを大別すると、IPカメラ(ネットワークカメラ)とアナログカメラに分けられます。
いろいろなサイトで解説されていますが、内容的には、基本的にはライターが書いたいい加減な説明(誤っているものも相当数ある)か、業者の書いたプロレベルの内容のどちらかです。
ネットで情報を知りたいユーザーにとっては、間違った情報もよくないし、かといってプロレベルの内容もどうか、といったところです。
ここでは、元素人がセミプロレベルで、アナログカメラとIPカメラの違いを解説します。
目次
映像信号と画素数

まずは一般的な説明です。
アナログカメラの信号形式には、CVBS、AHD、TVI、CVIがあります。
CVBSは従来から用いられている信号形式で、画素数は50万画素程度。メガピクセルと呼ばれる100万画素以上になると、AHD、TVI、CVIが用いられています。
日本で普及しているのはAHDで、800万画素(4K)程度のものまであります。各メーカーがこの信号形式の防犯カメラや録画機(防犯カメラレコーダー)を製造しており、各メーカーの製品間で互換性があります。
アナログカメラの配線には同軸ケーブルを用います。太めのケーブル(5CFB)を用いれば、400m程度の長さまで配線可能です。
一方、IPカメラ(ネットワークカメラ)の配線にはLANカーブルを用い、配線距離は100mまでです。
画素数は、30万画素~1000万画素レベルの製品がラインナップされています。
従来、IPカメラとIPカメラ専用の録画機は各メーカー間で互換性がありませんでした。
近年は、ONVIF(オンビフ)という各メーカー間の標準規格が取り決められて、このONVIF準拠製品も数多く出回るようになっています。
しかしながら、ONVIF準拠製品でも、各メーカー間で互換性が確実にあるとは言い切れません。製品ごとに個別に事前確認する必要があります。
基本的に、IPカメラとIPカメラ専用の録画機は各メーカー間で互換性はない、と考えておいたほうがよさそうです。
アナログカメラ、IPカメラともに今一番流通しているのは、200万画素(フルHD)の製品です。
その他の機能面では、アナログカメラとIPカメラに大差はありません。「防犯カメラの基礎知識」で詳しく解説していますので、そちらをご一読ください。
また、価格面では、同軸ケーブルはLANケーブルより安価です。
ライターの書いたもので、「同軸ケーブルが高価」という表現をたまに見かけますが、これは誤りです。

IPカメラシステムの分類
IPカメラ(ネットワークカメラ)を理解するには、全体のシステムをイラストで把握するのが簡単です。
大ざっぱに分類すると、次の4パターンになります。
-
SDカード記録型
-
NVR 無線Wi-Fi型
-
NVR PoEハブ内蔵型
-
NVR PoEハブ別置型
SDカード記録型
IPカメラ自体にIPアドレスが割り当てられ、ネットワークに接続すればすぐにスマホやPCから監視することができます。
映像は、カメラ本体に差し込まれたSDカードに記録されます。録画用にNVR(ネットワークビデオレコーダー)を用意する必要はありません

LANケーブル
ルーター
SDカード記録型
メリット、デメリットを見ていきます。
メリット
-
IPカメラ単独で動作し、録画機(NVR、ネットワークビデオレコーダー)は不要
-
費用は安価(カメラ1台で1万円しない)
-
LANケーブルの配線は不要
デメリット
-
LANケーブル配線は不要だが、カメラへの電源ケーブルの配線は必要
-
SDカードの記録保存期間は数日間に限られる
-
SDカードはHDDに比べ寿命が大幅に短い
-
カメラ本体にSDカードが挿入されているため、SDカード交換に手間がかかる
とりあえず防犯カメラを1台設置したい、という方にお勧めです。
NVR 無線Wi-Fi型
大手のネット通販で、IPカメラ4台セット数万円程度でよく販売されています。
映像は、専用のNVR(ネットワークビデオレコーダー)に録画されます。
データはNVRのHDDに保存されるため、SDカード記録に比べると保存期間も長く、また故障率も大幅に下がります。
NVRをインターネットに接続すれば、スマホやPCから遠隔監視もできます。

ルーター
NVR
NVR 無線Wi-Fi型
LANケーブル
メリット
-
安価
-
LANケーブルの配線は不要
デメリット
-
LANケーブル配線は不要だが、カメラへの電源ケーブルの配線は必要
-
NVRとIPカメラがペアになっているため、どちらかが故障した場合、互換性のあるもの(基本的には同一メーカー品)を買い求める必要がある。場合によっては、NVRとカメラ双方ともに買い替える可能性もある。
防犯カメラとNVRがセットで数万円と安価なため、一戸建てに最適でしょう。
たとえ故障して全て買い替えになったとしても、許容できる価格ではないでしょうか。
NVR PoEハブ内蔵型
IPカメラとNVR(ネットワークビデオレコーダー)をLANケーブルで接続すれば、防犯カメラシステムは完成です。
カメラへの電源供給はLANケーブル経由で行うので、電源ケーブルをわざわざ配線する必要はありません。
NVRには、IPカメラ4台用・8台用・16台用がラインナップされています。

LANケーブル
NVR
ルーター
NVR PoEハブ内蔵型
メリット
-
LANケーブルのみで動作するので、配線工事が簡単
-
NVRをインターネットに接続すれば、スマホやPCから遠隔監視もできます
デメリット
-
NVRとIPカメラがペアになっているため、どちらかが故障した場合、互換性のあるもの(基本的には同一メーカー品)を買い求める必要がある。特に大手メーカ品を初期導入した場合、ユーザーはそのメーカー製品に縛り付けられてしまう可能性がある。
コンビニやスーパー、飲食店、病院、神社仏閣、工場、倉庫、駐車場等、小規模~中規模施設向けです。
NVR PoEハブ別置型
NVRとPoEハブをLANケーブル1本で接続、PoEハブとIPカメラをカメラ台数分のLANケーブルで接続します。
IPカメラへの電源供給はPoEハブからLANケーブル経由で行うので、IPカメラに電源ケーブルを配線する必要はありません。
NVRは、IPカメラ4台接続仕様~64台接続仕様まで幅広くラインナップされている。

LANケーブル
NVR
ルーター
PoEハブ
NVR PoEハブ別置型
メリット
-
配線工事が簡単。特に、一方向に多数のIPカメラを設置する場合、カメラ設置場所付近にPoEハブを設置すれば、PoEハブ~NVR間はLANケーブル1本の配線でいいので、ケーブルや配線工事費用が安く済む。
例えば、ビルの5階と6階にそれぞれIPカメラを5台ずつ設置し、1階で監視する場合を考えてみれば容易に想像がつきます。5階にPoEハブを設置すれば、1階~5階はLANケーブル1本の配線で事足ります。
デメリット
-
NVRとIPカメラは、基本的に同一メーカー品でないと動作しません。将来的にどちらかが故障した場合、買い替え候補はその、メーカーに限定されてしまいます。
-
PoEハブとNVRはLANケーブル1本で接続するため、データ量が増えると、モニターに表示されるリアルタイム映像が、実際にカメラ前で発生している事象よりも遅れてしまう場合がある。
用途は、ショッピングモール、大病院、大規模工場など、同一方向に多数の防犯カメラが配置される大規模施設です。

PoEハブ
NVR
PoEハブとNVRの接続は、LANケーブル1本
「IPカメラの特徴」では、IPカメラでよくある失敗事例を掲載しています。

アナログカメラシステムの分類
ここでもイラストを交えながら解説していきます。
アナログカメラを用いた防犯カメラシステムは、2パターンに分類されます。
-
ワンケーブル型
-
ツーケーブル型
いずれのパターンでも、映像はDVR(デジタルビデオレコーダー)に録画されます。
また、DVRをインターネットに接続すれば、スマホやPCから遠隔監視も容易に行えます。
DVRは、4台接続仕様、8台接続仕様、16台接続仕様がラインナップされています。
ワンケーブル型
防犯カメラへの電源供給と映像信号のやりとりを専用の電源ユニットを用いることにより、同軸ケーブルで同時に行います。
そのため、わざわざカメラに電源ケーブルを配線する必要はありません。
電源ユニット~DVR間は、カメラ台数分の同軸ケーブルが必要です。

DVR
ルーター