ビットレートとは?
防犯カメラの画質・録画容量・通信量との関係を解説
防犯カメラの設定画面や仕様書を見ると、
「2048Kbps」
「4096Kbps」
「8Mbps」
「CBR」
「VBR」
といった表示を見かけることがあります。
これらは、映像のビットレートに関係する項目です。
ビットレートは簡単にいうと、1秒間の映像にどのくらいのデータ量を使用するかを表す数値です。
一般的にはビットレートを高くすると映像の細部を保ちやすくなりますが、その分、
-
HDD使用量が増える
-
ネットワーク通信量が増える
-
遠隔監視の回線負荷が大きくなる
といった影響があります。
この記事では、ビットレートの意味や画質・解像度・フレームレート・録画容量との関係、CBRとVBRの違いについて分かりやすく解説します。
ビットレートとは?
ビットレートとは、1秒間にどのくらいのデータを使用して映像を記録・送信するかを表した数値です。
一般的には、
Kbps(キロビット毎秒)
Mbps(メガビット毎秒)
という単位を使用します。
例えば、
2Mbps
なら、1秒間に約2メガビットのデータを使用するという意味です。
8Mbps
なら、1秒間に約8メガビットです。
基本的には、数値が大きいほど多くの映像情報を扱うことができます。
ビットレートを高くするとどうなる?
同じ解像度・フレームレート・圧縮方式などの条件で比較した場合、ビットレートを高くすると、映像に割り当てられるデータ量が増えます。
そのため、
○ 細かな部分を残しやすい
○ 動きの多い映像でも画質が崩れにくい
というメリットがあります。
一方で、
× HDDを多く使用する
× ネットワーク通信量が増える
というデメリットがあります。
つまり、
高ビットレート=高画質になりやすいが、データ量も大きい
と考えると分かりやすいでしょう。
ビットレートが低すぎるとどうなる?
高解像度カメラでも、ビットレートが低すぎると映像品質が低下することがあります。
例えば、
-
人物の輪郭がぼやける
-
細かな模様がつぶれる
-
動いたときに映像が崩れる
-
四角いブロック状のノイズが出る
-
草木や雨などの細かな動きが不自然になる
といった現象です。
特に、人物や車両が動いている映像では違いが分かりやすくなります。
同じ500万画素でも画質が違うことがある
ここは防犯カメラ選びで重要なポイントです。
例えば、どちらも
500万画素・15fps
というカメラでも、
カメラA:低いビットレート
カメラB:十分なビットレート
で録画されていれば、実際の録画映像に差が出る場合があります。
つまり、
「500万画素だから500万画素相当の細部が必ず残る」
とは限りません。
解像度は映像を構成するピクセル数を表しますが、ビットレートはその映像をどの程度のデータ量で圧縮・記録するかに関係します。
解像度とビットレートの関係
一般的に、解像度が高くなるほど必要なビットレートも大きくなる傾向があります。
例えば、
フルHD(1920×1080)
よりも、
4K(3840×2160)
の方が、1枚の画像に含まれる画素数が大幅に増えます。
そのため、4K映像を高品質で記録するには、相応のビットレートが必要になります。
4Kカメラを使用していても、極端に低いビットレートで圧縮すると、せっかくの高解像度を十分に生かせない場合があります。
フレームレートとビットレートの関係
フレームレートは、
1秒間に何枚の画像を記録するか
を表します。
例えば、
15fps → 1秒間に15枚
30fps → 1秒間に30枚
です。
同じ解像度で30fpsにすると、15fpsより多くの画像を1秒間に処理することになります。
そのため、高いフレームレートで高画質を維持するには、一般的により多くのデータ量が必要になります。
つまり、
高解像度 + 高フレームレート
ほど、ビットレートについても余裕を持った設定が必要になります。
映像の動きによっても必要なビットレートは変わる
同じ解像度・同じフレームレートでも、映像内容によって圧縮のしやすさが違います。
例えば、
誰もいない倉庫
では画面のほとんどが変化しません。
一方、
人が多い店舗
車両が頻繁に通る駐車場
風で木の葉が揺れている屋外
などは画面内の変化が多くなります。
一般的な動画圧縮では、前後の映像の共通部分などを利用してデータ量を減らします。
そのため、画面内の変化が多い映像ほど、同じ品質を維持するために多くのデータが必要になる傾向があります。
CBRとは?
CBRは、
Constant Bit Rate
の略です。
日本語では固定ビットレートなどと呼ばれます。
設定したビットレートを基準に、データ量を比較的一定に保ちながら映像を送信・記録する方式です。
例えば、
4Mbps
に設定した場合、映像の内容が変化しても、おおむね設定したデータ量を基準として動作します。
CBRのメリット
-
通信量を予測しやすい
-
ネットワーク設計がしやすい
-
HDD使用量を計算しやすい
といった特徴があります。
特に多台数のIPカメラを使用する場合、必要な帯域を計算しやすいことがメリットです。
VBRとは?
VBRは、
Variable Bit Rate
の略です。
日本語では可変ビットレートと呼ばれます。
映像の内容に応じて、使用するビットレートを変化させる方式です。
例えば、
誰もいない静かな倉庫ではデータ量を少なくし、
人物や車両が動いたときにはデータ量を増やして画質を維持する、
といった制御を行います。
VBRのメリット
映像内容に合わせてデータ量を調整できるため、画質と録画容量のバランスを取りやすいことが特徴です。
ただし、映像内容によってデータ量が変動するため、必要なネットワーク帯域やHDD使用量をCBRほど単純には予測できません。
CBRとVBRの違い

どちらが絶対に優れているというものではなく、システムや目的に合わせて選びます。
ビットレートとHDD容量の関係
ビットレートは、録画容量に直接関係する重要な要素です。
例えば、単純計算で4Mbpsの映像を24時間連続録画するとします。
4Mbpsをバイトに直すと、
4 ÷ 8 = 0.5MB/秒
です。
1日では、
0.5MB × 60秒 × 60分 × 24時間
となり、約43.2GBです。
つまり理論上は、
4Mbps × 1台 × 24時間 ≒ 約43GB/日
が一つの目安になります。
8Mbpsなら、おおむねその2倍の約86GB/日です。
実際には、圧縮方式・VBR・音声・ファイル管理・ストレージ表記などによって差が出ます。
カメラ16台なら通信量も16倍?
例えばIPカメラ16台を、それぞれ4Mbpsでレコーダーへ送信するとします。
単純計算では、
4Mbps × 16台 = 64Mbps
です。
32台なら、
4Mbps × 32台 = 128Mbps
になります。
実際のネットワーク設計では余裕を持たせる必要がありますが、カメラ台数が増えるほど、1台あたりのビットレートがネットワーク全体に大きく影響することが分かります。
そのため、多台数のIPカメラでは、
-
カメラ台数
-
各カメラのビットレート
-
スイッチの帯域
-
NVRの受信帯域
-
LAN構成
まで考える必要があります。
レコーダーにも「最大ビットレート」がある
これは高画素・多台数システムで非常に重要です。
レコーダーには機種によって、
最大入力帯域
最大受信帯域
などが設定されています。
例えば、レコーダーが受信できる映像データ量に上限がある場合、
「16chレコーダーだから16台接続できる」
だけでは十分ではありません。
高解像度・高fps・高ビットレートのカメラを16台接続すると、レコーダーの処理可能な帯域を超える可能性があります。
したがって、
チャンネル数だけでなく、レコーダーが何Mbpsまで処理できるか
も確認する必要があります。
遠隔監視では上り回線が重要
スマートフォンや離れた事務所から防犯カメラを見る場合、現地から映像をインターネットへ送信します。
ここで重要なのが、設置場所側の上り(アップロード)通信速度です。
例えば複数台の高画質映像をそのまま遠隔送信すると、かなりの通信量になる場合があります。
そのため、多くの防犯カメラでは、
メインストリーム
と
サブストリーム
を使い分けます。
メインストリームとサブストリーム
メインストリーム
高解像度・高ビットレートの映像です。
主に、
HDDへの高画質録画
に使用します。
サブストリーム
解像度やビットレートを低くした軽い映像です。
主に、
スマートフォンや遠隔監視
に使用します。
例えば、
録画:500万画素・高ビットレート
スマホ:低解像度・低ビットレート
とすることで、高画質録画を維持しながら通信量を抑えることができます。
ビットレートは高ければ高いほど良い?
必ずしもそうではありません。
ある程度までビットレートを高くすると画質改善が期待できますが、十分なデータ量が確保された後は、さらに増やしても見た目の差が小さくなることがあります。
一方、
-
HDD使用量
-
ネットワーク負荷
-
遠隔監視の通信量
は増加します。
つまり、
必要以上に高いビットレートは、データ量だけを増やしてしまう場合があります。
防犯カメラは何Mbpsに設定すればいい?
これは一律には決められません。
必要なビットレートは、
-
解像度
-
フレームレート
-
H.264・H.265などの圧縮方式
-
映像の動き
-
必要な画質
-
メーカーや機種
によって変わります。
例えば、同じ500万画素でも、
10fpsと30fps
では必要なデータ量が異なります。
また、
静かな倉庫と人通りの多い店舗
でも条件が違います。
そのため、単純に、
「500万画素なら○Mbps」
と決めるのではなく、メーカー推奨値や実際の録画映像を確認しながら設定することが重要です。
画質を決めるのはビットレートだけではない
防犯カメラの録画品質は、ビットレートだけで決まりません。
主に、
解像度 × フレームレート × ビットレート × 圧縮方式
が関係します。
さらに実際の撮影品質には、
-
レンズ
-
イメージセンサー
-
シャッタースピード
-
WDR
-
夜間性能
-
照明
-
撮影距離
なども影響します。
したがって、ビットレートだけを最大に設定すれば最高の防犯映像になるわけではありません。
解像度・fps・ビットレートの違い
この3つはセットで理解すると分かりやすくなります。
解像度
→ 1枚の画像をどれだけ細かく構成するか
フレームレート(fps)
→ 1秒間に何枚の画像を記録するか
ビットレート(bps)
→ 1秒間の映像にどれだけのデータ量を使うか
例えば、
4K・30fps・8Mbps
という設定なら、
「4Kの解像度で、1秒間に30フレームを扱い、映像データ量の目安を8Mbpsとする」
という意味になります。
よくある質問
ビットレートが高いほど画質は良くなりますか?
一般的には、同じ条件なら高い方が細部を維持しやすくなります。ただし、必要以上に高くしても画質の改善がほとんど見られない場合があります。
4Kなら何Mbps必要ですか?
一律には決められません。圧縮方式、fps、映像内容、メーカーの画像処理などによって必要量が異なります。製品の推奨設定を基準に判断します。
CBRとVBRはどちらがおすすめですか?
ネットワーク帯域や録画容量を予測しやすくしたい場合はCBR、映像内容に応じて効率よくデータ量を配分したい場合はVBRが向いています。
ビットレートを下げれば録画日数は延びますか?
基本的には延びます。ただし、下げすぎると録画映像の品質が低下するため注意が必要です。
500万画素なのに映像が粗いのはなぜですか?
ビットレート不足だけでなく、レンズ、撮影距離、夜間性能、録画解像度、圧縮設定など複数の原因が考えられます。
まとめ
ビットレートとは、1秒間の映像にどのくらいのデータ量を使用するかを表す数値です。
基本的には、
高いビットレート
→ 画質を維持しやすい・データ量が増える
低いビットレート
→ データ量を抑えられる・画質が低下する場合がある
という関係があります。
防犯カメラでは、
解像度・フレームレート・ビットレート・圧縮方式
をセットで考えることが重要です。
さらに多台数のIPカメラでは、HDD容量だけでなく、LANの通信量やレコーダーの最大受信帯域まで含めて設計する必要があります。
防犯設備士からのワンポイントアドバイス
ビットレートで特に注意したいのは、高画素カメラを多数設置する現場です。
例えば16chのレコーダーだからといって、高解像度・高フレームレートのカメラを16台、どのような設定でも使用できるとは限りません。
カメラ1台ごとのビットレートを合計し、レコーダーの受信帯域やネットワーク機器の能力に収まっているか確認する必要があります。
また、録画期間を長くするためにビットレートを必要以上に下げると、事件が発生した際に人物や車両の細部が十分に確認できない可能性があります。
防犯カメラでは、「できるだけデータを小さくする」のでも「すべて最大にする」のでもなく、必要な映像品質を確保したうえで適切なデータ量に設定することが重要です。