防水・防塵規格(IP66・IP67)とは?
屋外用防犯カメラの「IP〇〇」の意味を分かりやすく解説
屋外用の防犯カメラを選んでいると、
IP66
IP67
といった表示を見かけることがあります。
これはカメラの画素数や通信方式ではなく、防塵・防水性能を表す保護等級です。
屋外の防犯カメラは、
-
雨
-
風
-
砂ぼこり
-
粉じん
-
湿気
などにさらされます。
そのため、屋内用カメラをそのまま屋外へ設置するのではなく、設置環境に合った防水・防塵性能を持つカメラを選ぶことが重要です。
この記事では、IP66・IP67の意味や違い、屋外防犯カメラを選ぶ際の注意点について分かりやすく解説します。
IPコードとは?
IP66やIP67の「IP」は、Ingress Protectionに関する保護等級を表すコードとして使われています。
IEC 60529などで規定されており、電気機器の外郭が、
固形物や粉じん
そして
水
の侵入に対して、どの程度保護されているかを数字で表します。
例えば、
IP66
なら、
IP + 6 + 6
という構成です。
最初の数字が防塵・固形物に対する保護等級、
2番目の数字が水に対する保護等級
を表します。
IP66の「最初の6」は防塵性能
IP66の最初の「6」は、固形物や粉じんに対する保護等級です。
防塵側の最高等級は6です。
「6」は一般に、
粉じんが内部へ侵入しないよう保護された防塵形
を意味します。
屋外の防犯カメラでは、
-
道路沿い
-
駐車場
-
工場
-
倉庫周辺
-
資材置場
など、砂やほこりが多い場所もあります。
こうした環境では、防塵性能が重要になります。
IP66の「2番目の6」は防水性能
IP66の2番目の「6」は、水に対する保護等級です。
IPX6は一般に、強い噴流水を受けても有害な影響を受けないレベルの保護を示します。
つまりIP66のカメラは、
高い防塵性能
と
強い雨や噴流水に対する防水性能
を備えていることになります。
そのため、屋外壁面や駐車場などに使用される防犯カメラでよく見かける規格です。
IP67とは?
IP67の最初の「6」も、IP66と同じ防塵性能です。
違うのは2番目の数字です。
IP67
では、水に対する保護等級が「7」になります。
IPX7は一般に、規定条件で一時的に水中へ浸しても、有害な量の水が内部へ侵入しない保護を示します。
したがって、
IP66 → 強い噴流水への保護
IP67 → 一時的な水没への保護
という違いがあります。
IP66とIP67の違い

ただし、IP67だからIP66よりすべての条件で上位と単純に考えない方がよいでしょう。
防水試験の内容が異なるため、設置環境に合った規格を確認することが重要です。
IP67ならIP66の性能も必ず満たしている?
ここは注意が必要です。
数字だけを見ると、
7 > 6
なので、
「IP67ならIP66の噴流水試験にも当然対応している」
と思われるかもしれません。
しかし、IPX6とIPX7では試験内容が異なります。
そのため、規格表記だけから「IP67ならIPX6も必ず満たす」とは一律に判断できません。
製品によっては、
IP66/IP67
のように両方の試験適合を明記している場合もあります。
強い噴流水と一時的な浸水の両方を想定する場合は、メーカー仕様を確認しましょう。
防塵等級の数字は何を意味する?
最初の数字は、固形物に対する保護性能です。
屋外用防犯カメラでは、防塵等級6の製品が多く見られます。

防水等級の数字は何を意味する?
2番目の数字は、水に対する保護性能です。
ただし、数字が高ければすべての下位試験を自動的に含むとは限らない点には注意が必要です。

IP65・IP66・IP67はどう違う?
防犯カメラでは、
IP65
IP66
IP67
あたりをよく見かけます。
大まかには、
IP65
防塵等級6
+
噴流水に対する保護
IP66
防塵等級6
+
より強い噴流水に対する保護
IP67
防塵等級6
+
一時的な水没に対する保護
です。
一般的な屋外防犯カメラでは、IP66以上の製品が多く使われています。
屋外ならIP66で十分?
一般的な屋外壁面や軒下などでは、IP66クラスの防犯カメラが使われるケースは多くあります。
例えば、
-
一戸建ての外壁
-
店舗入口
-
駐車場
-
マンション外周
-
工場外壁
-
倉庫周辺
などです。
ただし、設置環境によって条件は大きく変わります。
例えば、
-
台風時に強い雨が直接当たる
-
洗浄作業で水がかかる
-
水たまりができやすい低い位置
などでは、より慎重な機種選定が必要です。
軒下なら防水性能は不要?
いいえ。
軒下でも、完全に雨が当たらないとは限りません。
風を伴う雨では横方向から水が吹き込みます。
また、
-
結露
-
湿気
-
水滴
-
清掃時の水
などの影響もあります。
屋外に設置する以上、軒下だから屋内用カメラでよいとは考えない方が安全です。
IP67なら水中カメラとして使える?
基本的には、そのように考えない方がよいでしょう。
IP67は規定された試験条件での一時的な浸水に対する保護等級です。
プールや水槽の中へ長期間設置することを意味するものではありません。
水中で継続的に使用する場合は、その用途に対応した専用製品が必要です。
IP67=常時水中使用可能
ではありません。
IP66でも台風なら絶対安心?
IP66は高い防水性能を持ちますが、
IP66だからどんな環境でも絶対に浸水しない
という意味ではありません。
実際の現場では、
-
ケーブル引込部
-
コネクタ部分
-
ジャンクションボックス
-
カメラ取付部
-
壁面の貫通穴
などから水が入ることがあります。
つまり、カメラ本体がIP66でも、施工部分が適切でなければシステムとしての防水性は確保できません。
防水性能より施工が原因になることもある
屋外カメラの故障で注意したいのが、カメラそのものではなく配線接続部への浸水です。
例えばLANケーブルや同軸ケーブルの接続部分が屋外へ露出していると、雨水が侵入する可能性があります。
特にIPカメラでは、
RJ45コネクタ
があります。
カメラ本体がIP67でも、RJ45接続部が適切に防水処理されていなければ、通信不良や腐食の原因になることがあります。
そのため屋外施工では、
カメラ本体 + ケーブル接続部 + 配管・BOX
を一体として防水設計することが重要です。
ジャンクションボックスが重要
屋外防犯カメラでは、カメラの近くに防水用のジャンクションボックスを使用することがあります。
ボックス内部へ、
-
LAN接続部
-
電源接続部
-
余長ケーブル
などを収納します。
これによって、コネクタを雨や紫外線から保護しやすくなります。
さらに、壁面のケーブル貫通部なども適切に防水処理します。
屋外防犯カメラでは、カメラのIP等級だけを見るのではなく施工方法まで考えることが重要です。
屋外用LANケーブルも必要
IPカメラの場合、屋外をLANケーブルで配線することがあります。
カメラがIP66でも、LANケーブルが一般的な屋内用なら、紫外線や雨、温度変化によって被覆が劣化する可能性があります。
屋外露出部分では、
屋外用LANケーブル
または
適切な保護配管
を使用します。
防犯カメラシステムは、最も弱い部分からトラブルが発生する可能性があります。
結露にも注意
IP66・IP67であっても、結露については別に考える必要があります。
屋外では、
昼間と夜間の温度差
↓
カメラ内部や周囲の温度変化
↓
湿気が結露
ということがあります。
また、施工時に湿気を含んだ状態でカメラやボックスを密閉すると、内部に水滴が発生する場合もあります。
防水性能だけでなく、メーカーの使用温度・湿度条件や施工環境も確認しましょう。
海沿いでは防水だけでは不十分
海岸近くでは、
塩害
も考慮する必要があります。
IP66・IP67は主に防塵・防水性能を表すものであり、耐塩害性能を直接示す規格ではありません。
海沿いでは、
-
塩分による腐食
-
金属部品の錆
-
コネクタの腐食
などが問題になる場合があります。
そのため、塩害環境では防水性能だけでなく、耐腐食性能や筐体材質も確認することが重要です。
工場では油・薬品にも注意
工場では雨水以外にも、
-
油
-
切削液
-
薬品
-
高温蒸気
-
粉じん
などがカメラへ影響する場合があります。
IP等級は、こうしたすべての物質に対する耐性を保証する規格ではありません。
例えばIP67だからといって、
薬品に強い
油に強い
という意味ではありません。
特殊環境では、その環境に対応したカメラを選ぶ必要があります。
高圧洗浄する場所ならIP66でいい?
食品工場など、設備を洗浄する現場では高圧・高温の水が使用される場合があります。
そのような環境では、一般的なIP66・IP67だけでは適切でない場合があります。
製品によっては、
IP69K
など、高圧・高温水への耐性を示す別規格・試験への対応が必要になることがあります。
洗浄環境では、実際の水圧や温度を確認して機種を選びましょう。
防水性能と耐候性は同じではない
ここも重要なポイントです。
IP66やIP67は、防塵・防水性能を示します。
しかし屋外では、
-
紫外線
-
高温
-
低温
-
温度変化
-
塩害
-
強風
などもあります。
つまり、
防水性能が高い=屋外耐候性のすべてが高い
というわけではありません。
カメラを選ぶ際には、
-
使用温度
-
筐体材質
-
耐候性
なども確認します。
屋内でもIP規格が役立つ場所がある
IP66などは屋外だけのためのものではありません。
屋内でも、
-
工場
-
食品加工施設
-
大型冷蔵庫
-
粉じんの多い倉庫
-
洗浄する場所
などでは防塵・防水性能が重要になる場合があります。
特に工場では、粉じんがカメラ内部へ入り込むリスクがあるため、防塵性能の高い製品が有効です。
IP66とIP67、どちらを選べばいい?
一般的な防犯カメラでは、設置環境から判断します。
IP66を検討しやすい場所
-
一般的な屋外壁面
-
住宅外周
-
店舗入口
-
駐車場
-
マンション外周
IP67を検討する場所
-
より水の影響が大きい場所
-
一時的な浸水リスクを考慮する場所
-
メーカーがIP67を標準採用している屋外カメラ
ただし、単純にIP67を選べば終わりではありません。
配線・接続部・取付方法まで含めた防水対策が重要です。
防犯カメラ選びで確認するポイント
屋外カメラを選ぶ際には、IP等級だけでなく次の点を確認します。
-
防塵・防水等級
-
設置場所に雨が直接当たるか
-
配線接続部の防水方法
-
屋外用ケーブルを使用するか
-
使用温度範囲
-
塩害・腐食リスク
-
洗浄水・薬品などの影響
-
ジャンクションボックスや配管の施工方法
カメラ単体のIP等級だけで屋外システム全体の防水性能は決まりません。
よくある質問
IP66とIP67ではどちらが上ですか?
防塵性能はどちらも「6」です。水への試験内容が異なり、IP66は強い噴流水、IP67は一時的な水没への保護を示します。単純な上下関係だけで判断しないことが重要です。
IP67なら雨ざらしでも使えますか?
屋外対応製品として使用できる場合がありますが、メーカーの設置条件を確認してください。また、コネクタや配線部分の防水施工も必要です。
IP66なら軒下で十分ですか?
一般的には利用しやすい等級ですが、設置環境によって異なります。横殴りの雨や結露なども考慮しましょう。
IP67なら水中へ設置できますか?
常時水中使用を意味するものではありません。水中で使用する場合は専用の製品が必要です。
カメラがIP67ならLANコネクタも防水ですか?
必ずしもそうとは限りません。カメラ本体とケーブル接続部の保護方法は別に確認する必要があります。
まとめ
IP66・IP67は、防犯カメラの防塵・防水性能を表す保護等級です。
基本的には、
IP66
→ 防塵等級6
→ 強い噴流水に対する保護
IP67
→ 防塵等級6
→ 一時的な水没に対する保護
という違いがあります。
屋外防犯カメラを選ぶ際には重要な指標ですが、
「IP67なら屋外で絶対に故障しない」
という意味ではありません。
実際の施工では、
カメラ本体
+ ケーブル
+ コネクタ
+ ジャンクションボックス
+ 壁面貫通部
まで含めて防水対策を行うことが重要です。
防犯設備士からのワンポイントアドバイス
屋外カメラの防水で、実際に注意したいのはカメラ本体以外の部分です。
カメラがIP66・IP67でも、LANケーブルのコネクタを屋外へそのまま露出させたり、壁面の貫通部分から水が入ったりすれば、通信不良や機器故障の原因になります。
特にIPカメラでは、RJ45コネクタ部分を適切に保護し、必要に応じてジャンクションボックス内へ収納することが重要です。
また、屋外に配線する場合は、カメラのIP等級だけではなく、屋外用LANケーブルや配管、ボックスまで含めて一つのシステムとして考える必要があります。
防犯カメラの防水対策は、
「IP66かIP67か」だけで判断するのではなく、「水がどこから入り得るのか」を考えて施工すること
が、長期間安定して使用するためのポイントです。