AI検索あり・なしでは何が違う?
防犯カメラの録画検索は「探す時間」が大きく変わる
防犯カメラは、ただ録画しておけばよいというものではありません。
事件やトラブルが発生したときには、膨大な録画映像の中から、「必要な場面をいかに早く見つけられるか」が重要になります。
例えば、
「昨日、駐車場に入ってきた不審な人物を探したい」
「店舗から商品を持ち出した人物が、いつ入店したのか確認したい」
「工場の敷地に入ってきた車両を調べたい」
という場合です。
従来の防犯カメラでは、日時を指定して録画映像を再生し、早送りしながら人の目で探す方法が一般的でした。
しかしAI機能を搭載した防犯カメラでは、録画映像から人物・車両・顔などを抽出し、サムネイルで一覧表示して検索できる機種があります。
この違いは、実際に事件が起きたときに大きく表れます。
この記事では、AI検索あり・なしで防犯カメラの録画検索がどう変わるのかを比較します。
防犯カメラのAI検索とは?
AI検索とは、AIが録画映像を解析し、
-
人物
-
車両
-
顔
などを検出・分類して、目的の映像を探しやすくする機能です。
例えば、ある時間帯にカメラの前を20人が通過していた場合、それぞれの人物をサムネイルとして一覧表示できるシステムがあります。
利用者は長時間の録画を最初から見るのではなく、
人物のサムネイルを見る
↓
探している人物を選ぶ
↓
その人物が映った時間の録画を再生する
という流れで確認できます。
つまりAI検索は、録画時間ではなく「映っている対象」から映像を探すための機能と考えると分かりやすいでしょう。

AI検索画面で、「人」を検索場合の検索結果
AI検索なしの場合
一般的な録画検索では、まずトラブルが発生した日時を推測します。
例えば、
「昨日の午後1時から午後5時までの間に起きたらしい」
という場合です。
すると、
13:00から録画を再生
↓
早送り
↓
人物が来たら確認
↓
違えば再び早送り
↓
目的の人物が見つかるまで繰り返す
という作業になります。
4時間の映像をそのまま見る必要はありませんが、早送りしても確認には時間がかかります。
さらに複数台のカメラがあれば、それぞれの録画を確認しなければならない場合があります。
AI検索ありの場合
AI検索対応システムでは、同じ4時間の録画でも探し方が変わります。
例えば、
検索対象:人物
時間:13:00~17:00
と指定すると、AIが検出した人物をサムネイルで一覧表示します。
利用者は、
録画を4時間見る
のではなく、
検出された人物の一覧を見る
ことができます。
探している人物が見つかれば、そのサムネイルをクリックして該当時刻の映像を確認します。
これにより、録画確認にかかる時間を大幅に短縮できる場合があります。
AI検索あり・なしを比較

AI検索の最大のメリットは、単純に映像がきれいになることではありません。
「必要な映像を探す時間を短縮できること」です。
録画時間が長いほどAI検索のメリットが大きい
例えば、防犯カメラが24時間録画しているとします。
トラブルが発生した時刻が、
「午前中だったと思う」
程度しか分からない場合、通常検索では数時間分の映像を確認する必要があります。
さらに、
カメラ10台
あれば、確認対象となる映像量は非常に多くなります。
AI検索なら人物や車両を抽出することで、確認対象を絞り込める場合があります。
そのため、
-
カメラ台数が多い施設
-
24時間営業の店舗
-
人の出入りが多い施設
ほど、AI検索のメリットを感じやすくなります。
人物をサムネイルで探せる
AI検索で特に便利なのが、人物のサムネイル検索です。
例えば店舗で、
「黒い服を着た人物が商品を持ち出した」
ことが分かったとします。
通常検索なら録画を早送りしながら、その人物を探します。
AI検索では、検出された人物がサムネイルとして並ぶため、
「この人物ではない」
「この人物でもない」
「この人だ」
と視覚的に探せます。
長時間の動画を連続して見るより、目的の人物を見つけやすくなる場合があります。
車両を探す場合にも便利
駐車場・工場・倉庫などでは、人物だけでなく車両検索も便利です。
例えば、
「夜間に敷地へ入ってきた車を確認したい」
場合です。
通常検索では、夜間の録画を長時間再生して車が現れるのを待ちます。
AI検索なら、車両として検出された対象を一覧表示できるため、
車が通った場面だけを確認する
という使い方ができます。
深夜など交通量の少ない時間帯では、特に効率的です。
顔検索ができるカメラもある
AIカメラの中には、人物だけでなく顔を検出して検索できる製品があります。
例えば、
顔のサムネイルを一覧表示
し、目的の人物を選択して該当映像を確認します。
さらに高度なシステムでは、登録した顔画像を基に該当する人物を検索できるものもあります。
ただし、顔検索の精度は、
-
顔の向き
-
撮影距離
-
カメラの高さ
-
照明
-
解像度
-
帽子やマスク
-
カメラの設置角度
などに影響されます。
カメラに人物が映っていれば、必ず顔検索できるわけではありません。
AI検索とモーション検索の違い
AI検索と似た機能にモーション検知・モーション検索があります。
モーション検知は基本的に、画面内の変化を検出します。
そのため、
人
だけでなく、
-
木の揺れ
-
影
-
雨
-
虫
-
車のライト
などを検知することがあります。
一方、AI検索では、
これは人物
これは車両
と対象を分類することができます。
そのため、単純な映像変化を探すよりも、必要な対象へ絞り込みやすくなります。
AI検索とAI検知は別の機能
ここは重要です。
AI検知とAI検索は同じではありません。
AI検知
現在の映像をAIが解析し、
-
人物が侵入した
-
車両がエリアへ入った
などを判断する機能です。
検知した瞬間に、
-
スマートフォン通知
-
サイレン
-
音声警告
-
ライト点灯
などを行うことができます。
AI検索
すでに録画された映像から、
-
人物
-
車両
-
顔
などを探す機能です。
つまり、
AI検知
→ 「今起きていること」に対応
AI検索
→ 「過去に起きたこと」を調べる
という違いがあります。
両方を組み合わせることで、防犯カメラの利便性が高くなります。
万引き調査ではAI検索が便利
店舗で万引きが発覚したとします。
例えば棚卸しで商品がなくなっていることが分かっても、
「いつ盗られたのか分からない」
というケースがあります。
通常の録画検索では、長時間の映像を確認しなければなりません。
AI検索を利用できれば、人物が映った場面を中心に確認できます。
さらに別カメラの映像と組み合わせ、
売場
↓
レジ付近
↓
店舗出口
と人物の行動を追える場合があります。
工場・倉庫の内部不正調査にも
工場や倉庫では、
-
材料がなくなった
-
工具がなくなった
-
在庫数が合わない
といった問題が発生することがあります。
しかし、物がなくなった時刻が分からなければ、録画検索には非常に時間がかかります。
AI検索によって、
-
夜間に倉庫へ入った人物
-
休日に特定エリアへ来た人物
-
敷地へ入った車両
などを絞り込めれば、録画確認の効率を高められます。
マンション・アパートでも活用できる
集合住宅では、
-
不法投棄
-
不審者
-
いたずら
-
車上荒らし
-
宅配物の盗難
などの確認に録画映像を使用することがあります。
例えば、
「ゴミ置場に不法投棄されたが、いつ置かれたのか分からない」
という場合です。
通常なら長時間の映像を確認する必要があります。
AI検索で人物を抽出できれば、ゴミ置場付近に人物が現れた場面を効率よく確認できる可能性があります。
介護施設・病院でも検索時間を短縮
介護施設や病院などでは、防犯だけでなくトラブル発生時の事実確認に録画映像が利用されることがあります。
例えば、
「ある時間帯に誰が廊下を通ったのか」
を確認する場合です。
カメラ台数が多い大規模施設では、通常検索だけでは確認に時間がかかります。
人物サムネイルなどを利用できれば、対象時間帯の人の動きを確認しやすくなります。
コンビニではAI検索との相性がよい
コンビニは、
-
24時間営業
-
来店者が多い
-
カメラ台数が多い
という特徴があります。
そのため、録画される映像量も非常に多くなります。
万引きやトラブルが発生したとき、
「昨日の何時だったか分からない」
となると、通常検索では確認作業が大変です。
AI検索によって人物・顔・車両などを絞り込めれば、必要な映像へたどり着くまでの時間を短縮できる可能性があります。
AI検索があれば録画を確認しなくていい?
いいえ。
AI検索は、あくまで目的の映像を探すための補助機能です。
AIが抽出した結果が必ず100%正しいとは限りません。
例えば、
-
人物が小さすぎる
-
暗い
-
人物同士が重なっている
-
カメラから遠い
-
一部しか映っていない
-
顔が横を向いている
などの条件では、正しく検出できない場合があります。
最終的な事実確認は、実際の録画映像を見ることが重要です。
カメラの設置位置もAI検索の精度に影響する
高性能なAIカメラを設置しても、設置方法が悪ければAI機能を十分に活用できません。
例えば人物検索をしたいのに、
カメラを高すぎる位置へ設置
すると、人物の頭頂部ばかりが映る場合があります。
顔検索を利用したいなら、
人物の顔が適切な大きさ・角度で映る位置
を考える必要があります。
つまり、
AIカメラを取り付ければ終わり
ではありません。
何を検索したいのかを考えて、カメラの位置・焦点距離・視野角を設計することが重要です。
AI検索はレコーダーとの組み合わせも重要
AI検索は、カメラ単体だけで完結するとは限りません。
システムによっては、
AIカメラ
+
AI対応レコーダー
+
対応ソフトウェア
の組み合わせで利用します。
例えばカメラに人物検知機能があっても、レコーダーがAI検索に対応していなければ、期待する検索機能を利用できない場合があります。
そのため導入前に、
「AI検知できるか」
だけではなく、
「録画後にどのような検索ができるか」
まで確認することをおすすめします。
メーカーが違うとAI検索できないこともある
IPカメラにはONVIFという共通仕様があります。
そのため異なるメーカーのカメラとレコーダーを接続できる場合があります。
しかし、AI検索などの高度な機能はメーカー独自仕様となっていることがあります。
例えば、
映像は録画できる
ものの、
-
人物検索が使えない
-
顔検索が使えない
ということがあります。
AI機能を重視する場合は、カメラとレコーダーの互換性を十分に確認する必要があります。
AI検索あり・なし、どちらを選ぶ?
カメラ台数が少なく、
トラブル発生時刻もある程度分かる
のであれば、通常の日時検索でも十分な場合があります。
一方、
-
カメラ台数が多い
-
24時間録画している
-
人の出入りが多い
事件発生時刻が分からないことが多い
人物や車両を頻繁に調べる
という施設では、AI検索のメリットが大きくなります。
特に防犯カメラを「何か起きた後に調べるための設備」として積極的に活用するなら、検索性能は重要です。
導入前に確認したいAI検索機能
「AI検索対応」と書かれているだけで判断せず、実際に何ができるのか確認しましょう。
例えば、
-
人物検索はできるか
-
車両検索はできるか
-
顔検索はできるか
-
サムネイル表示できるか
-
複数カメラを横断して検索できるか
-
検索結果からすぐ録画再生できるか
などです。
同じ「AI搭載」でも、製品によって機能には大きな違いがあります。
よくある質問
AI検索とは何ですか?
録画映像から人物・車両・顔などをAIで抽出し、目的の映像を探しやすくする機能です。
AI検索がないカメラでは検索できませんか?
日時指定やタイムライン、モーション検索など、レコーダーが備える通常の検索機能を利用できます。AI検索は、それをさらに効率化する機能と考えると分かりやすいでしょう。
AI検索なら犯人を自動で見つけてくれますか?
AIは人物や車両などを分類・抽出する補助機能です。映像に映った人物を「犯人」と自動的に判断する機能ではありません。
AI検索と顔認識は同じですか?
同じではありません。人物検出、顔検出、顔照合などは別の機能です。製品によって利用できる機能が異なります。
普通のカメラをAIレコーダーへ接続すればAI検索できますか?
製品によります。レコーダー側で映像解析できる製品もあれば、AI対応カメラからの情報が必要なシステムもあります。
AI検索は100%正確ですか?
いいえ。撮影条件や設置環境によって、検出漏れや誤検出が発生する可能性があります。
まとめ
AI検索あり・なしの大きな違いは、録画映像の「探し方」です。
AI検索なしの場合は、
日時を指定
↓
録画を再生
↓
早送り
↓
人の目で目的の場面を探す
という方法が中心です。
AI検索ありの場合は、
日時・対象を指定
↓
人物・車両・顔などをAIが抽出
↓
サムネイルで一覧表示
↓
目的の対象を選択
↓
該当録画を再生
という検索が可能になります。
防犯カメラは、録画することだけが目的ではありません。
事件やトラブルが発生したときに、
「必要な映像を、どれだけ早く取り出せるか」
も重要な性能です。
防犯設備士からのワンポイントアドバイス
防犯カメラを導入するときは、どうしても、
「何万画素か」
「何日録画できるか」
に目が向きがちです。
しかし、実際に事件やトラブルが起きて初めて分かるのが、録画検索の大変さです。
例えば10台のカメラが24時間録画していれば、1日だけでも合計240時間分の映像があります。
もちろんすべてを最初から見るわけではありませんが、発生時刻が分からないトラブルでは、映像を探す作業そのものが大きな負担になります。
AI検索のメリットは、単に「AIという新しい機能が付いている」ことではありません。
人が録画映像を探す作業を減らせることです。
特に店舗・コンビニ・工場・倉庫・マンション・介護施設など、カメラ台数が多い現場では、カメラの画質と同じくらい**「検索しやすさ」**も比較してみることをおすすめします。