top of page

防犯カメラの停電対策とは?UPS・予備電源・録画継続の仕組みを解説

防犯カメラは、24時間365日稼働することを前提に設置される設備です。

しかし、停電が発生するとどうなるのでしょうか。

「停電しても防犯カメラは録画できる?」

「UPSを設置すれば録画を続けられる?」

「スマートフォンからの遠隔監視も使える?」

といった疑問を持つ方も多いと思います。

​

一般的な防犯カメラは、停電によって電源が失われると撮影や録画を継続できなくなります。

そこで利用されるのが、UPS(無停電電源装置)などのバックアップ電源です。

ただし、防犯カメラシステムにはカメラ以外にも、レコーダーやネットワーク機器など、電源が必要な機器があります。

​

この記事では、防犯カメラの停電対策について、必要な機器や電源構成、UPS容量の計算方法、注意点を分かりやすく解説します。

停電すると防犯カメラはどうなる?

一般的な防犯カメラシステムは、AC100Vなどの商用電源を使用しています。

そのため、停電によって電源が失われると、カメラやレコーダーは停止します。

​

例えば、

防犯カメラ → DVR・NVR → HDDへ録画

というシステムでは、カメラとレコーダーの両方が正常に動作している必要があります。

​

停電すると、次のような問題が発生する可能性があります。

  • カメラ映像が映らなくなる

  • DVR・NVRが停止する

  • 録画が中断される

  • モニターに映像が表示されなくなる

  • スマートフォンから遠隔監視できなくなる

  • AI検知や警報機能が停止する

 

停電復旧後に自動起動する製品もありますが、停電中の映像が記録されていなければ、その時間帯を後から確認することはできません。

防犯カメラの停電対策にはUPSを使用する

UPSとは、Uninterruptible Power Supplyの略で、日本語では無停電電源装置と呼ばれます。

内部にバッテリーを搭載しており、停電などで商用電源が失われた際に、接続された機器へ電力を供給します。

​

通常時は、

AC100V → UPS → 防犯カメラシステム

という経路で電力を供給します。

停電すると、UPSがバッテリーから電力を供給することで、接続機器の動作を一定時間維持します。

 

ただし、UPSは無制限に電力を供給できるわけではありません。

バッテリー容量と接続機器の消費電力によって、運転可能時間が決まります。

停電時の監視システムを比較

UPSを設置すれば録画は継続できる?

UPSを適切に設置すれば、停電中も録画を継続できる場合があります。

ただし、重要なのは録画に必要なすべての機器へ電源を供給することです。

​

例えば、IPカメラ4台をNVRで録画しているシステムを考えます。

電源が必要なのは、

  • IPカメラ4台

  • PoEスイッチ

  • NVR

です。

NVRだけをUPSへ接続しても、PoEスイッチが停電で停止すればカメラへ電源を供給できません。

その結果、NVRは動いていても、新しい映像を録画できなくなります。

反対に、カメラだけが動いていてもNVRが停止すれば、NVRへの録画は継続できません。

​

停電対策では、録画システム全体の電源構成を確認することが重要です。

PoEカメラは停電対策がしやすい

PoE対応IPカメラは、LANケーブル1本で通信と電源供給を行います。

​

例えば、

AC100V

↓

UPS

↓

PoE対応NVR

↓

LANケーブル

↓

PoEカメラ4台

という構成です。

​

この場合、PoE対応NVRへ適切にUPS電源を供給できれば、NVRとカメラの電源をまとめてバックアップできます。

​

また、PoEスイッチを使用している場合は、

UPS → NVR+PoEスイッチ → カメラ

という構成になります。

PoE方式は電源を集中管理しやすいため、停電対策との相性がよい方式です。

ただし、PoE機器がUPSのバックアップ対象になっていることが前提です。

ACアダプター給電では注意が必要

ACアダプターを使用しているカメラでは、カメラごとに電源を確保している場合があります。

例えば、

カメラ1 → ACアダプター1

カメラ2 → ACアダプター2

カメラ3 → ACアダプター3

という構成です。

​

それぞれが別の場所のコンセントから電源を取っている場合、UPSを1台設置するだけでは、すべてのカメラをバックアップできません。

そのため、

電源を1か所に集約できるか

個別にUPSを設置する必要があるか

を検討します。

​

また、AHDカメラでもDC12V電源を集中供給している構成なら、電源装置をUPSでバックアップする方法があります。

DVR・NVRだけでなくモニターも必要?

停電中に録画を続けるだけであれば、必ずしもモニターまでUPSへ接続する必要はありません。

​

例えば、

カメラ → 正常

NVR → 正常

HDD録画 → 継続

していれば、モニターの電源が切れていても録画は継続できます。

ただし、警備室や管理室などで停電中も映像を確認したい場合は、モニターの電源も確保する必要があります。

​

つまり、停電対策は目的によって変わります。

録画だけを継続したい

のか、

停電中も映像を監視したい

のかによって、UPSへ接続する機器を決めます。

遠隔監視を続けるにはルーターの電源も必要

スマートフォンから防犯カメラを遠隔監視している場合、停電対策はさらに複雑になります。

​

例えば、

IPカメラ

↓

NVR

↓

ルーター

↓

インターネット

↓

スマートフォン

という構成です。

​

この場合、カメラとNVRがUPSで動作していても、ルーターが停止すれば遠隔監視できなくなります。

また、光回線を使用している場合は、ONUなどの通信機器にも電源が必要です。

そのため遠隔監視を継続したい場合は、

  • NVR

  • PoEスイッチ

  • ルーター

  • ONU

など、通信経路上の機器もバックアップする必要があります。

​

ただし、建物側の通信機器が動作していても、通信事業者側の設備や回線が停電・障害の影響を受ければ、インターネットへ接続できない場合があります。

UPSによって録画は継続できても、遠隔監視まで保証されるわけではありません。

ホームルーターを使用している場合

光回線ではなく、モバイル通信を利用したホームルーターで遠隔監視している場合もあります。

​

この場合は、

ホームルーターの電源

をUPSで確保する必要があります。

​

ただし、携帯電話基地局や通信網の状況によっては、停電中に通信できなくなる可能性があります。

そのため、ホームルーターをUPSへ接続しても、遠隔監視が必ず継続するとは限りません。

録画の継続とインターネット接続の継続は、分けて考えることが重要です。

UPSは何分間使える?

UPSのバックアップ時間は、主に次の条件によって変わります。

  • UPSのバッテリー容量

  • 接続する機器の消費電力

  • UPS自体の効率

  • バッテリーの劣化状態

 

例えば、同じUPSでも、

消費電力50W

と

消費電力200W

では、停電中に運転できる時間が大きく異なります。

​

一般に、接続する機器の消費電力が大きいほど、バックアップ時間は短くなります。

そのため、UPSは価格や本体サイズだけで選ばず、接続する機器の合計消費電力と必要な運転時間から選定する必要があります。

UPS容量の計算方法

具体例で考えてみましょう。

次の防犯カメラシステムを想定します。

防犯カメラのUPSの計算方法

※説明用の仮定値です。NVRの30WにはカメラへのPoE給電分を含めていない構成を想定しています。

この場合、停電中に必要な消費電力は約90Wです。

ただし、実際にはカメラの最大消費電力、PoE給電損失、UPSの効率なども考慮する必要があります。

また、NVR本体の仕様にPoE出力分が含まれている場合は、電力を二重計上しないようにします。

30分間録画を続けるには?

先ほどの90Wのシステムを、30分間動かしたいとします。

必要な電力量の単純計算は、

90W × 0.5時間 = 45Wh

です。

​

ただし、これは接続機器が消費する電力量の理論値です。

実際のUPSでは、

  • 電力変換損失

  • バッテリーの放電特性

  • バッテリー劣化

などがあるため、45Whのバッテリーを搭載していれば必ず30分動くわけではありません。

また、UPSの仕様に表示されるVA(皮相電力)やW(有効電力)は、出力できる電力の上限を示すものであり、バックアップ時間そのものを表すものではありません。

​

UPS選定では、メーカーが公表している負荷電力別のバックアップ時間表を確認することが重要です。

UPSは何VAを選べばよい?

UPSには、

  • 500VA

  • 750VA

  • 1000VA

  • 1500VA

など、さまざまな容量があります。

​

ただし、

1000VAだから1000W使える

とは限りません。

UPSにはVAとWの両方の定格があり、製品によって異なります。

また、同じ1000VAのUPSでも、搭載するバッテリー容量によってバックアップ時間が異なります。

​

そのため、

接続機器の消費電力

↓

UPSの定格出力

↓

必要なバックアップ時間

の順番で確認することをおすすめします。

停電対策は何時間必要?

必要なバックアップ時間は、設置目的によって異なります。

​

瞬間停電・短時間停電への対策

数秒から数分程度の停電による録画中断や機器の再起動を防ぐことが目的です。

比較的小規模なUPSでも対応できる場合があります。

​

30分~1時間程度の停電対策

停電中も一定時間録画を継続したい場合です。

カメラ台数や消費電力に応じたUPS容量が必要になります。

​

数時間以上の長時間停電対策

大容量バッテリーや長時間バックアップ対応UPSなどを検討します。

さらに長時間の停電へ備える場合は、非常用発電設備などとの組み合わせも考えられます。

UPSには種類がある

UPSには、主に次のような給電方式があります。

​

常時商用給電方式

通常時は商用電源を利用し、停電時にバッテリー運転へ切り替える方式です。

比較的安価な製品が多く、小規模な機器のバックアップに使用されます。

​

ラインインタラクティブ方式

通常時は商用電源を利用しながら、電圧変動に対する調整機能を備えた方式です。

​

常時インバータ給電方式

通常時からインバータを介して電力を供給する方式です。

停電時の出力切り替えによる瞬断を避けやすく、電源品質が重要な機器などで使用されます。

​

防犯カメラシステムでは、接続機器の電源仕様や必要な信頼性に合わせてUPSを選定します。

UPSなら瞬間停電も防げる?

短時間の停電や瞬間的な電圧低下によって、DVR・NVRが再起動する場合があります。

レコーダーが再起動すると、起動が完了するまで録画できない時間が発生する可能性があります。

UPSは、このような問題を軽減するためにも利用されます。

​

ただし、UPSの給電方式によっては、停電時にバッテリー運転へ切り替わるまでの短い切替時間があります。

接続機器によっては、この切替時間が影響する場合もあるため、UPSとレコーダーの適合性を確認することが重要です。

停電によってHDDが故障することはある?

停電によって突然レコーダーの電源が切れると、録画中のデータが正常に保存されなかったり、ファイルシステムに問題が発生したりする可能性があります。

ただし、停電したからといって、必ずHDDが物理的に故障するわけではありません。

​

UPSを使用することで、短時間の停電中も録画を継続したり、対応機器では安全にシャットダウンしたりできる場合があります。

防犯カメラでは、録画を継続することだけでなく、録画装置を安定して動作させることも重要です。

microSDカード録画なら停電しても大丈夫?

カメラ本体にmicroSDカードを搭載している場合でも、カメラの電源が切れれば録画は停止します。

microSDカードは録画データを保存する記録媒体であり、カメラへ電源を供給するものではありません。

​

したがって、

microSDカード搭載 = 停電対策済み

ではありません。

​

ただし、カメラの電源を維持できれば、NVRやネットワークの障害時にもmicroSDへ録画できる場合があります。

停電対策と録画バックアップは、別々の機能として考える必要があります。

停電対策にモバイルバッテリーは使える?

USB給電式の小型カメラなどでは、仕様に適合するモバイルバッテリーを使用できる場合があります。

しかし、一般的なPoEカメラやDC12Vカメラでは、電圧や給電方式が異なるため、通常のモバイルバッテリーをそのまま使用できるとは限りません。

また、モバイルバッテリーによっては、充電しながら給電する使い方に対応していないものもあります。

​

防犯カメラの常設停電対策としては、対応するUPSや専用バックアップ電源を使用する方が適しています。

UPSにも寿命がある

UPSを設置したからといって、永久に停電対策ができるわけではありません。

UPS内部のバッテリーは消耗品です。

長期間使用すると蓄電能力が低下し、購入時よりバックアップ時間が短くなることがあります。

そのため、

  • バッテリーの交換時期

  • UPSの警告表示

  • 定期的な動作確認

などが重要になります。

また、高温環境ではバッテリーの劣化が早まる場合があります。

UPSは設置後も定期的な点検が必要です。

UPSが故障するとどうなる?

UPS自体が故障した場合、接続機器への給電が停止する可能性があります。

UPSの種類や故障内容によってはバイパス給電などが行われる場合もありますが、すべてのUPSにその機能があるわけではありません。

​

そのため重要な監視システムでは、

  • UPSの状態監視

  • バッテリー交換

  • 故障時の対応

まで考える必要があります。

特に工場や病院など、監視停止の影響が大きい施設では重要です。

防犯カメラの停電対策が必要な場所

一戸建て

停電中も玄関や駐車場を録画したい場合、カメラとレコーダーのバックアップ電源を検討します。

 

店舗・コンビニ

レジ周辺や売場、バックヤードなど、複数台のカメラを使用する施設では、録画装置とカメラ電源をまとめて検討することが重要です。

 

工場・倉庫

夜間や休日も録画が必要な場合、停電中の録画継続が重要になることがあります。

PoEスイッチが複数箇所に分散している場合は、それぞれの電源経路を確認します。

 

マンション・アパート

共用部の防犯カメラでは、管理室や収納BOXに設置したレコーダーと電源装置をバックアップする方法があります。

 

病院・介護施設

防犯だけでなく、トラブル発生時の事実確認などに録画映像を使用する施設では、停電中も必要な録画を継続できるか検討する価値があります。

停電対策を設計するときのチェックポイント

防犯カメラの停電対策では、次の項目を確認します。

​

  1. 停電中も録画を続けたいか

  2. 停電中もモニターで映像を確認したいか

  3. スマートフォンからの遠隔監視も必要か

  4. カメラはPoE給電か、ACアダプター給電か

  5. カメラ・レコーダー・通信機器の消費電力はいくらか

  6. 何分間、何時間のバックアップが必要か

  7. UPSの設置場所やバッテリー交換は容易か

  8. 停電復旧後にシステムが正常に再起動するか

 

これらを確認して、UPSの容量と設置方法を決めることが重要です。

よくある質問

停電すると防犯カメラの録画は消えますか?

通常、すでにHDDやmicroSDカードへ正常に保存された録画映像が、停電だけですべて消えるわけではありません。ただし、録画中のデータやファイル管理情報が影響を受ける可能性はあります。

​

UPSを設置すれば停電中も録画できますか?

カメラ・レコーダーなど録画に必要な機器へ電力を供給できれば、UPSのバックアップ時間内で録画を継続できる場合があります。

​

NVRだけUPSへ接続すれば大丈夫ですか?

PoE対応NVRからカメラへ給電している構成なら可能な場合があります。ただし、外部PoEスイッチなどを使用している場合は、その機器にも電源が必要です。

​

UPSがあればスマートフォンからも監視できますか?

ルーターやONUなどにも電源が必要です。また、通信事業者側の回線や設備が利用できることも条件になります。

​

UPSは何時間使えますか?

UPSのバッテリー容量と接続機器の消費電力によって異なります。メーカーのバックアップ時間表を確認してください。

​

microSDカードがあれば停電しても録画できますか?

カメラの電源が停止すれば録画も停止します。microSDカード自体に電源供給機能はありません。

まとめ

防犯カメラの停電対策では、UPSなどのバックアップ電源を使用する方法があります。

しかし、UPSを設置するだけで、すべての機能が継続するわけではありません。

​

録画を続けるには、

  • 防犯カメラ

  • PoEスイッチ・電源装置

  • DVR・NVR

など、録画に必要な機器の電源を確保する必要があります。

​

さらに遠隔監視を継続したい場合は、

  • ルーター

  • ONU

  • ホームルーター

などの通信機器も考慮します。

​

UPSを選ぶ際には、

  • 合計消費電力

  • 必要なバックアップ時間

  • UPSの定格出力

  • バッテリー容量

を確認することが重要です。

​

防犯カメラは、必要なときに映像が残っていなければ意味がありません。

停電対策も、防犯カメラシステムの信頼性を高めるための重要な要素です。

防犯設備士からのワンポイントアドバイス

防犯カメラの停電対策で特に注意したいのが、「UPSを設置した機器だけが動き続ける」ということです。

​

例えば、NVRへUPSを設置していても、別の場所にあるPoEスイッチの電源が切れてしまえば、カメラ映像はNVRへ届きません。

また、遠隔監視を行っている場合、NVRが正常でもルーターやONUが停止すると、スマートフォンから映像を確認できなくなります。

​

そのためUPSを設置する前に、まず、

「カメラから録画装置まで、どの機器に電源が必要なのか」

を配線図で確認することをおすすめします。

​

そして、停電時に何を継続したいのかを明確にします。

  • 録画だけを続けたいのか。

  • モニターでも確認したいのか。

  • 遠隔監視まで必要なのか。

目的によって必要なUPS容量も電源構成も変わります。

​

停電対策は、UPSの容量だけでなく、防犯カメラシステム全体の電源設計として考えることが重要です。

この記事の監修

株式会社関東セキュリティ

創業20年。

関東エリアを中心に、工場・倉庫・店舗・病院・学校・マンションなど数多くの防犯カメラ施工を手掛けています。

本サイトでは、長年の施工経験をもとに、防犯カメラ選びで失敗しないための情報を分かりやすく発信しています。

​

▶ 関東セキュリティ公式サイトはこちら

bottom of page